2012年12月4日火曜日

悩みは皆同じ

先日、当社の業務改革S.W.A.Tプロジェクトを支援いただいている日揮情報システムのセミナーで、講演をする機会がありました。まだ社内での利用開始前ではありますが、現在導入中の原価管理システムのユーザー事例として講演してほしいという依頼があり、当社の宣伝にもなるため承諾することにしました。私の前後のプログラムは、清水建設、西松建設と錚々たる方々の講演で、かなりプレッシャーでしたが、当社の現状の課題点と改革への思いをありのままに伝え、プロジェクトの進め方、スケジュール、システム構成、プロジェクトのポイントなどを付け加えた内容で30分程度のプレゼンテーションとしました。

課題点と改革への思いについては以前から話している通りですが、本プロジェクトの肝となるポイントについて、講演の内容を共有したいと思います。

1. あくまで業務プロセス改革中心
このプロジェクトは情報システムを入れ替えることが目的ではなく、業務プロセスを改革して、利益につなげることが目的です。情報システムはそのためのひとつの手段でありツールにすぎません。そこで、まずはシステムから離れて、現状のプロセスを理解し、そこに潜む課題の抽出と解決策の検討に最も多くの時間をさきました。

2. 最小の投資で最大の効果
繰り返しになりますが、このプロジェクトは低下した利益を向上させることが目的ですから、多大なコストと時間をかけるわけにはいきません。そこで、通常はコンサル側で行うような書類作成もプロジェクトメンバーで行い、その分の費用を下げました。次に、システムのカスタマイズは最小限とし、できる限りパッケージの機能に自社の業務を合わせるようにしました。その結果、開発費は最小限に抑え、導入スケジュールも短期で終わらせることができました。

3. ベンダー選定に時間をかけない
今回は日揮情報システムをコンサルタント、またシステムベンダーに選びましたが、ベンダー選定にはほとんど時間をかけませんでした。それは、ベンダー選定に無駄に時間をかけるより、すぐにプロジェクトをスタートさせ、効果を出したかったからです。日揮情報システムが建設業界に精通していること、またこのシステムが多くの大手建設会社で実績があることはわかっていましたので、彼らを信頼して任せることにしました。会社が本気で改革に取り組む意思があり、ベンダーとの信頼関係さえあれば、誰と組んでも大差はないのです。

4. その他
その他、このプロジェクトで意識したことは、プロジェクトリーダーの選定です。このプロジェクトは、結果的には現場に多少負荷をかけることになります。ですから、現場のことをよく理解している人でなければ、プロジェクトを推進することはできないと思いました。そこで、現場一筋30年のトップクラスの人にプロジェクトリーダーになってもらいました。現場の人達が一目置く人が、プロジェクトの目的をしっかりと理解した上で進めなければ、業務改革は成功しません。

これらのポイントは、業務改革を行う上で、どの会社でも考慮すべき内容だと思います。セミナー後に参加者との懇親会がありましたが、会社の規模は違えど、抱えている悩みや課題はどこも同じであると感じました。会社(現場)の状況を見える化し、意思決定を迅速にして、利益確保とリスク回避を行いたい。これは各社共通の課題です。それをどのように解決していくか、多少の手段は異なっても、目指す方向は皆同じ。当社でもプロジェクトが進み、全社での利用が進めば、面倒なことも不満もでてくるかもしれません。ただ、この改革は厳しい環境を乗り越えるために、会社の規模にかかわらず誰もがチャレンジしていることであり、このチャレンジに成功した者のみが生き残り、成長できるということを理解して、改革に臨んでください。