2013年11月11日月曜日

風通しの良い会社

少し前になりますが、部門長を対象に多面行動観察フィードバックを実施しました。これは、360度フィードバックとも言われ、対象者の上司、同位者、部下など様々な立場の人が、普段接している中で感じているその人の長所や短所、また会社が求める人物像にどれくらい適合した行動をとることができているかなどをフィードバックするというものです。社員の皆さんには、おそらく1人以上の対象者について、webから設問に対する回答をお願いしたと思います。また、各部門長は自分自身で同じ設問に回答し、自己診断も行なってもらいました。これらの回答を集計することで、自分の行動が周囲からどのように受け止められているか、また自分で描いていた人物像と他人から見た姿の違いなども把握できるため、今まで気づかなかった長所や短所などが浮き彫りになり、自分自身を見つめ直すいいきっかけになったのではないかと思います。

多面行動観察を実施した目的はふたつあります。ひとつは、部門長という立場にふさわしい行動をとってもらうために、今まで意識していなかった長所や短所に気づいてもらい、長所をより伸ばし、短所は改善につなげてほしいということです。他人に短所を指摘されるのは、気分もよくありませんし、時に大きなショックを受ける事もありますが、指摘される短所というものは結構心当たりがあるもので、冷静に受け止めて考えてみると、あのような行動や言動がよくなかったのかなと反省につなげることができます。長所は自分が自信を持っている点が指摘されることもありますが、意外と気づいていなかった長所の発見につながることもあり、そうなると非常に嬉しい気持ちになりますし、自信にもつながります。

また、長所の裏返しが短所として指摘されることもあります。例えば、「他人を尊重する」リーダーシップをとるタイプの場合、自分の意見ややり方を無理に押し付けようとせず、相手の考えに耳を傾け、出来る限りその意に沿ったやり方で仕事をさせようとします。これがプラスに表現されると「自分の意見をよく聞いて尊重してくれる」「仕事を任せてもらえてやりがいにつながる」などのフィードバックになります。しかしこれがマイナス意見として指摘されると「仕事を丸投げしてくる」「方針がはっきり示されない」となります。大事な事は、個々の意見を長所だ短所だと一喜一憂するのではなく、自分の性格やスタイルを把握すること、自分をよく知ることです。その上で、状況に応じた対応をとっていけば、自然と周囲は認めてくれるようになるでしょう。

もうひとつの目的は、上司部下関係なく意見を言い合える職場環境を作ることです。「評価」は大抵において上司が部下に対して行うものです。しかし、多面行動観察は上司から部下に対する評価だけでなく、同位どうしや部下から上司に対するフィードバックも行います。フィードバックを集計するまで、どの程度皆さんが率直な意見を出してくれるか心配でした。しかし結果を見ると、厳しい意見から冷静な意見、長所を尊敬するコメントなど、非常に多くの具体的なコメントがされており、安心しました。

多面行動観察フィードバックを実施したコンサルタントの方から、「旭さんは驚くほど風通しのいい会社ですね」と話をされました。まず、フリーコメントでこれだけ回答があるのは珍しいですし、普段から色々と意見を言い合っていないと、このような機会が与えられても率直な回答は難しいということでした。また、フィードバック結果について対象者どうしで共有するという時間を設けたところ、すぐに自分の結果を周囲の何名かに見せながら意見交換をしているところから、上司部下の風通しもありますが、同位者どうしの横のつながりも強いことがよく分かるというコメントをいただきました。

職種や役職に関係なく意見が言い合えるということは、ゴールに向かって個々が結束できているということでもあると思います。自分の意見を伏せながら、納得せずに悶々とした思いの中で仕事をするのではなく、意見をオープンに言い合いながら、納得をしたかたちでゴールを目指すという健全な職場環境は理想的です。そのためには、普段から色々な会話を持ち、話を聞いたり、伝えたりというコミュニケーションを積極的にもつことが大事でしょう。言いにくいことはメールなどで済ませたりしがちですが、言いにくいことほど顔を合わせて話し合うことが必要ですね。また上司部下の関係では、やはり上司が部下と目線を合わせて話を聞くことも大事だと思います。私もできるだけ壁を取り払って、皆さんの意見に積極的に耳を傾けていきたいと思います。