高知の下知水再生センターのプロジェクト「無曝気循環式水処理技術実証研究」実証施設の完成記念式典に参加してきました。このプロジェクトは、B-DASHと呼ばれる「国土交通省下水道革新的技術実証事業」に採択された事業で、高知市・高知大学・日本下水道事業団・メタウォーター共同研究体によって実施されています。無曝気循環式とは、従来の標準活性汚泥法に代わる水処理技術で、処理層底部の散気装置から空気を送り込むのではなく、処理層上部に設置したシャワーノズルから汚水を放水することで空気に触れさせて処理水内に酸素を供給するというものです。どちらも、汚水中に酸素を供給して汚水内の微生物を活性化させ、有機物を分解して処理するのですが、曝気式はブロワによる空気供給に大量の電力消費が伴うため、処理水質を保ちながら消費エネルギーを抑制できる方式が研究されてきました。東京23区において最もエネルギー消費が高いのは、東京都下水道局というほど、下水処理プロセスは消費電力が高いとのこと。今回の無曝気循環式によって、下水処理に必要となる電力量が最大で7割削減できるため、非常に画期的な技術として注目されています。
本実証研究に先駆けて、ベトナムのダナンで一昨年に実証実験が行われ、そのための施設も当社で施工していました。当時はまだ簡易的な設備でしたが、今回の高知における実証施設は処理場のひとつの系統を完全に使用して、6750㎥/日を処理できる規模になっていますので、着実にこの技術が成果を実らせているということを実感できます。従来の当社の環境事業の物件は、曝気層の散気装置交換が中心でしたが、昨今は高速ろ過設備や今回のような無曝気循環式水処理設備の実証設備など、下水処理における最新技術を実装していく案件が増えてきています。もちろんお客様の戦略や将来の方向性に照準を合わせた営業活動を行うという方針から、こうした最新技術に触れる機会が増えていることもありますが、結果的にはお客様が当社に期待して最新技術の実装を国内外問わず依頼してもらえているというのは本当に嬉しいことです。当社が手がけた最新技術が、将来的に水処理技術の主流となれば、なおさらやりがいがあるというものです。
私の考える当社のビジョンは「設備のソリューションカンパニーになる」ことです。お客様に依頼されたものをただ建設することがゴールなのではなく、当社のサービスを通じてお客様の将来の成功に貢献することにあります。そのためには、常にお客様の将来ビジョンを共有してもらい、それをともに達成することにコミットする姿勢が重要です。お客様が何をしようとしているのか、どこへ行こうとしているのか、何がお客様の成功なのか、いつもこのことを頭において営業活動や施工を行ってください。その姿勢を持ち続けることで、今回のような重要プロジェクトに参画できる機会を得ることができます。いつもお客様と一緒に最先端を走っていける会社でありましょう!