先日、協業先であるS社より、社内研修の基調講演として「当社における変化」についてご紹介する機会がありました。S社では今年から、全社をあげて「変化」に取り組んでおられ、意識改革から具体的な改善項目の洗い出し、解決策の検討と実践、実践後のレビューと進めてこられました。S社では、従来より主なターゲットであった半導体業界が不況に陥るなどの市場要因に加え、様々な内部要因から生じる課題を乗り越え、今後大きく飛躍していくために、様々な改革にチャレンジされているそうです。その中で、こうした改革に着手されているのはS社だけでなく、異業種や他社においても、同様に変化に対するチャレンジをしている企業があるということを知っていただくために、事例紹介として当社にプレゼンテーションを依頼いただいたというわけです。
当社が身を置く建設業界は、一般的に構造不況と言われている業界です。それに加え、これまで当社が多大なる恩恵を受け、多くの経験を積んできた紙パ業界もリーマンショック以降不振が続いており、当社にとっては非常に厳しい市場環境となっています。また、市場環境の変化に伴い、旧来から運用し続けてきた、様々な制度や業務プロセスにも少しずつ歪が生じはじめ、当社を取り巻く厳しい環境を乗り越えるためには、多くの改革が必要です。以下に当社でこれまで、またこれから行っていく改革について整理したいと思います。
1. 意識改革
人は意味もなく変化を強要されることには強い抵抗を感じます。これは当然の反応だと思います。ですから、まず何故変わらなければいけないのかという背景と、どのように変わっていくのかというビジョンを明確に理解してもらう必要があります。私は事あるごとに、「工事請負会社から設備のソリューションカンパニーへ」という中期ビジョンを口にするようにしています。これは、当社における改革の旗印であり、その方向性を端的にあらわした言葉でもあります。そして、トップと社員、社員どうしの情報交換、情報発信の場を創出し、トップが何を考えているのか、今何をすべきなのか、何故すべきなのか等をできるだけ伝えようと思います。(本ブログもその一環です)
また、ライン管理職などの幹部社員は、四半期に一度2日間の合宿を行い、方針や戦略の共有、意見交換等を行っています。会社が変わるには中枢となる幹部からということで、この2日間は通常業務を行わずに集中して討議することで、意識改革と戦略の落とし込みができる場です。
2. 人事・組織改革
この4月より、事業(事業/営業戦略の立案と推進)と拠点(施工と拠点営業)のマトリックス組織を作りました。これによって、従来欠如していた事業ごとの戦略立案と、施工部隊の生産性の向上を実現します。事業統括部は、建築・環境・紙パ・産業の4事業それぞれの市場や顧客を鑑みて、中期的な事業/営業戦略の立案と推進を行います。市場の動き、顧客の特性、事業ごとの当社における課題等は、その事業によって全く異なります。これらを十分理解した上で、個別の戦略を立案できる体制を構築しました。一方で拠点となる営業所統括部では、事業横断的に受注物件の施工に従事し、生産性の高い人員配置を目指します。こうした事業と拠点のマトリックス組織構造により、全ての案件を営業と施工、中央営業と地域営業など双方から支援し合える体制を整えました。
また、同じく今年度より人事制度を改定し、従来の年功要素の強い制度から、スキルや貢献度を重視した制度に移行しました。その主旨や内容については以前の記事でも触れましたので参照してください。(人事制度改定①)
3. 営業改革
上記の組織改革でも触れましたが、当社の従来の営業手法は戦略性に欠けていた部分がありました。案件があるところ、引合をいただいたところに行くのは当然として、市場や顧客、競合、当社の事業戦略に応じた戦略的なアプローチが必要です。今回の組織変更により、事業ごとの事業/営業戦略を立案する役割を持つ組織を創設し、当社における各事業の中期計画(今後どのように事業を伸ばしていくか)を検討、牽引していくことになります。
また、意識改革のところでも触れたソリューション提案という手法についても、営業におけるひとつの武器として、ソリューション推進部という提案営業を推進する技術者部隊を創設し、新規顧客開拓、既存顧客の売上シェア拡大、顧客関係の構築を目指しています。
4. 業務改革
当社の業務プロセスは20年ほど前に作られて以来ほとんど変えられることなく継続されており、その大半が過去の様々な事情を考慮して作られています。また、同時に構築されたオフコン(業務コンピュータ)の性質に依存していることもあり、あるべき業務プロセスとは乖離が生じています。
当社では4月より、採算性の向上、リスクの早期回避、迅速な意思決定等を目指して、特別チームAST (Asahi SWAT Team) を編成して、社内の業務プロセス改革を進めています。本プロジェクトでは、現在の業務プロセスを全て洗い出し、あるべき姿を検討するととともに、新しい業務システムの活用を並行して進めています。詳しくは改めて説明したいと思います。
改革というのは痛みを伴います。自分自身が変わるのは面倒ですし辛いものでもあります。しかし、外部環境に適応し、変化していくことは、生き延びていくためには必ず必要なことなのです。「ゆで蛙」という表現があります。蛙を熱湯の中に放り込めば、熱くて飛び出してしまいます。しかし冷水の中に蛙を入れて徐々に熱していけば、水温の変化に気づくことができずにそのままゆでられてしまうというわけです。外部環境は少しずつ変化しています。こうした環境の変化を敏感に感じながら、適応しようという努力を継続するということが、変化の激しい時代には求められているのだと思います。環境の変化を意識しながら、この改革を一緒に乗り越えていきましょう。
2012年7月23日月曜日
2012年7月2日月曜日
ご安全に
今週は全国安全週間です。会社や協力会によるパトロールが様々な現場で行われることと思います。以前、あるお客様から伺いましたが、事故や災害は守るべきルールを守らなかったことによって発生することがほとんどだそうです。本当はルールで定められていることがあるけれど、少しくらいいいか、いつもの作業だから大丈夫だろう、そういった気持ちから意図的にルールを守らなかったことが原因で発生するということです。
そういう意味では交通ルールに非常に似ています。速度制限が40kmとなっていても、速度制限通りに走っている車はほとんど見ません。むしろ、ノロノロ走っていて迷惑がられることさえあります。しかし、それは40kmを超えていることに気づかないのではなく、少しくらいスピードを上げても大丈夫だろう、自分のドライビングテクニックであれば問題ない、とある意味で意図的に速度制限を破って走行していると言えるでしょう。
では、片側が断崖絶壁になっていて、連続カーブで対向車が見えにくく、かつ双方向にすれ違うことが難しいほど狭い道路ではどうでしょう。おそらく速度制限が何キロであろうと、スピードを落とし、慎重に走行しませんか?ですから、そうした危険な道路では、必然的に交通ルールは守られ、事故も起きにくい状況にあるのではないかと思います。工事現場でも同様です。初めてのお客様、初めての作業、大規模でスケジュールがタイトな案件、そうした現場では、皆が慎重に作業を行いますからほとんど事故が発生しません。逆に、何度も経験している作業、慣れた現場、慣れたお客様、といった現場で起こりがちです。
ですから、事故や災害は気持ちの持ちようで大きく変わると言えます。危ないという意識があればルールを守り事故は起きにくいわけですから、どのような現場で、どのような作業であろうと、そうした危機意識を持ち続けられるかということが影響してくることになります。安全活動自体、同じことの繰り返しですから、「慣れ」につながりやすいです。そのためにも安全管理部門には、いつも新しい刺激が与えられるような施策を期待したいですし、個々の現場でも常に作業員への意識付けが必要ですね。意図的にルールを破ろうとしたその瞬間に、このことを思い出して、踏みとどまってほしいと思います。
ご安全に。
そういう意味では交通ルールに非常に似ています。速度制限が40kmとなっていても、速度制限通りに走っている車はほとんど見ません。むしろ、ノロノロ走っていて迷惑がられることさえあります。しかし、それは40kmを超えていることに気づかないのではなく、少しくらいスピードを上げても大丈夫だろう、自分のドライビングテクニックであれば問題ない、とある意味で意図的に速度制限を破って走行していると言えるでしょう。
では、片側が断崖絶壁になっていて、連続カーブで対向車が見えにくく、かつ双方向にすれ違うことが難しいほど狭い道路ではどうでしょう。おそらく速度制限が何キロであろうと、スピードを落とし、慎重に走行しませんか?ですから、そうした危険な道路では、必然的に交通ルールは守られ、事故も起きにくい状況にあるのではないかと思います。工事現場でも同様です。初めてのお客様、初めての作業、大規模でスケジュールがタイトな案件、そうした現場では、皆が慎重に作業を行いますからほとんど事故が発生しません。逆に、何度も経験している作業、慣れた現場、慣れたお客様、といった現場で起こりがちです。
ですから、事故や災害は気持ちの持ちようで大きく変わると言えます。危ないという意識があればルールを守り事故は起きにくいわけですから、どのような現場で、どのような作業であろうと、そうした危機意識を持ち続けられるかということが影響してくることになります。安全活動自体、同じことの繰り返しですから、「慣れ」につながりやすいです。そのためにも安全管理部門には、いつも新しい刺激が与えられるような施策を期待したいですし、個々の現場でも常に作業員への意識付けが必要ですね。意図的にルールを破ろうとしたその瞬間に、このことを思い出して、踏みとどまってほしいと思います。
ご安全に。
登録:
投稿 (Atom)