2012年10月18日木曜日

スピード、ベクトル、家族愛

日亜化学の副社長にご挨拶に伺いました。日亜化学は、ご存じの通りLEDの世界トップシェアの会社ですが、昨今の国内電機業界の不振、一向に戻る気配のない円高、韓国企業の日本進出といった厳しい外部環境の中で日々闘っておられます。中でもサムスン電子をはじめとする韓国企業には頭を悩まされているものの、韓国が日本より優れている点が3つあると仰っていました。それは、①スピード ②ベクトル ③家族愛とのこと。

スピード: 成功している韓国企業はオーナー企業が多く、その特徴としては意思決定のスピードが非常に早い。環境の変化が早い中で、すぐに意思決定をして進んでいかなければならないが、日本は政治も経済も企業も意思決定が遅く、そのスピードについていけていない。

ベクトル: 韓国企業は社員のベクトルがひとつの方向を向いている。そのため、組織として企業として大きな力を発揮することができる。しかし、弱い日本企業は向かっている方向がバラバラなだけでなく、外部へ向かってしまうこともあるため、上司に意見をする前に、社外に愚痴をこぼすといったことが起きてしまう。

家族愛: 韓国は家族で生きている、組織で仕事をしているという意識が強く、”愛”で結束されている。しかし、日本はひとり孤独に仕事をし、家族愛や愛社精神に欠けるところがある。

これらの点は会社の経営にとっても重要なポイントだと思います。以前の記事でも書きましたが、私が会社にとって最も大事であると思っているのは「ビジョンを共有して意識をひとつにする」ことです。ひとりひとりの力を結集して大きな推進力にしていくということ、これが組織で仕事をするということだと考えています。また、このブログのタイトルでもあります「あさひ愛」も、社員が「愛」をもって結束することで、大きな団結力を生み出すという考えでもあり、今日の話は非常に共感することができました。

今の日本の製造業は、こうしたポイントが欠けることで、力を落としているのではないかと仰っていました。日本、また日本人の基本的な考え方は民主主義ですが、民主主義を重んじ過ぎるがゆえに、なかなかまとまりきれず、組織として、企業として、国として力を発揮できていないのかもしれません。強いリーダーシップが行き過ぎると「独裁」になってしまいますし、民主主義が行き過ぎてもまとまらない。そのバランスがとても大事だと思います。昨今のような厳しい環境下においては、民主主義も大事ですが、強いリーダーシップをもって、スピード、ベクトル、愛を追及することも必要だと感じました。

2012年10月11日木曜日

役員合宿


10月8日は当社65年目の創立記念日でした。会社の平均寿命は30年といわれる中で、その倍以上に渡って事業を継続できたことは誇るべき事実であり、またここまで当社の長い歴史を築いてこられた先輩方に改めて敬意を表したいと思います。さて、この記念すべき日に役員全員の気持ちをひとつに前へ進んでいきたいという思いから合宿をしてきました。まずは、当社の生みの親である創業者に、さらなる事業の継続と発展を誓い、また困った時の神頼み、この苦境を乗り切るための力添えをしてもらおうということで、墓参りをすることにしました。創業者の墓は富士の裾野の広大な霊園にあり、爽やかな秋晴れの中、墓前に手を合わせてきました。役員の多くは訪れるのは初めてということで、いい機会だったと思います。

その後ホテルでゆっくりと温泉に…つかる間もなく、3時間近くかけて下半期の各自のコミットメント設定を行いました。役員には事前に、この下半期に自分が「役員生命」をかけて達成する目標数字を検討しておくように伝えてありました。合宿は、その数字について合意することと、部門目標、行動計画などについて意識合わせをすることが大きな目的です。前回の記事でも触れましたが、私が経営において最重要視しているのは、社員の意識をひとつにすることです。そのためには、まずトップが同じ方向に向かなければ社員がついてきてはくれません。これからどこへ向かって行くのか、そのためには何が重要で、いま最も注力すべきはなんであるのか、この共通認識をもったうえで下に落とし込んでいく必要があります。

私は前職でもよくこの合宿を経験しました。チームビルディングのための合宿と言われ、節目ごとに行われていましたが、チームづくり、組織づくりのためには、1〜2時間の会議では難しく、行き帰りの移動から、食事、イベント、会議、風呂、酒…そういった時間を共有することで生まれてくる何かが大事なのだと思います。だからスポーツチームは必ずキャンプをするのでしょう。

今回、役員だけの合宿は初めての試みとなりましたが、慌ただしくはありましたが、神聖かつ有意義な時間を過ごし、良いチームビルディングができたと思います。

2012年10月1日月曜日

あさひ3Gスタート

本日10月1日、私が旭シンクロテック社長のタスキを受け取り走り出すことになりました。現在の経済情勢など、当社を取り巻く環境などからしますと、箱根駅伝でいうところの第5区(小田原-芦ノ湖の山登り区間)走者といったところでしょうか。最大の難所ではありますが、この区間に抜擢されたエースのつもりで全力で走りぬき、65年間途切れることなくつながれたこのタスキを、次の走者につなぐことが私のミッション(使命)だと思っています。これからも引き続きよろしくお願いします。

社長就任にあたり、私の会社経営に対する考え方について簡単に話をしたいと思います。私が会社にとって最も大事であると思うのは「ビジョンを共有して意識をひとつにする」ことです。私には強烈なカリスマ性があるわけでも、特別な頭脳があるわけでも、また長年の会社経営経験があるわけでもありません。その私が社員を束ね会社をリードしていくためには、皆さんの中から湧き出るエネルギーに頼るしかありません。皆さん自身が前に進んでいく力、この力を大きなものにして一方向に集中させることで、組織として会社として最高の力が発揮されるのだと思います。そのためには、どこへ向かって進んでいくのか、何故そこへ進んでいくのかということを理解、納得し、その思いを前へ進むエネルギーに変えてもらう必要があります。ですから、私は折に触れて会社のビジョン、考え、思いを皆さんに伝え、エネルギーを発揮してもらうとともに、その方向性をひとつにすることで会社全体の大きな推進力に変えていきたいと思っています。これが私の考えるビジョン経営です。

当社のビジョンは「設備のソリューションカンパニー」です。この言葉は、私が3年前に入社以来伝え続けてきていますから、一度は耳にしたことがあると思います。私は、どの業界のどの会社であっても、お客様にソリューションが提供できない会社に価値はないと思っています。私たちがお客様の課題やニーズに応えられる会社であるからこそ、価値に感じてもらえるわけですし、そのソリューションがお客様の期待値を上回るものであれば、それは感動につながり、結果として深い信頼関係を築くことができます。そして、お客様に価値があると同時に、同じビジョンに向かって進んでいるビジネスパートナーや社員にとっても価値ある会社でなければ真のソリューションカンパニーとはいえません。全ての判断基準はwin-win-winであるかどうかにあると思っています。

それでは「価値」とはどのようなものでしょうか?価値ある会社であり続けるためにはどうすればよいのでしょうか?まず、価値は相手の基準で判断されるものであり、自分で決めるものではありません。つまり相手が何を価値に感じるかということを必ず意識する必要があり、自分の基準を押し付ければそれは単なるエゴにすぎません。次に、価値の基準は徐々に高まっていくものです。ある時点では価値に感じていても、時間の経過とともにそれは「当たり前」なものに変わっていきますから、常に価値を与え続けるためには、進化を続けるしかありません。進化はここまですればよいというものではなく、生き残っていくためには永遠に継続する必要があるのです。

継続的進化のためには、「意識」「しくみ(環境)」「スキル」が必要だと思いますが、やはり根底にあるのは「意識」です。前に進みながらも、次の進化形を意識する。克服すべき自分の課題、市場や顧客ニーズの移り変わり、ニーズに応える術をどのように身につけるか、こうしたことを現場に従事しながら、お客様とコミュニケーションしながら、そこで見聞きした事実をもとに常に意識していくことが重要なのだと思います。(これが「動きながら考える」知的体育会系です)

さあ、当社のビジョンに向かって意識をひとつに進んでいきましょう。そして皆さんの持っている力を思う存分発揮してください。あさひ3G(3rd Generation=第3世代)のスタートです。