2017年3月24日金曜日

Win-win-winでなければいずれ破綻する

ヤマト運輸とAmazonの問題に見る重要なテーマとは

先月あたりからヤマト運輸をめぐる動きが頻繁にメディアに取り上げられています。これらの動きを一言で要約すると、アマゾンをはじめとするネット通販の急増によって、配送現場が疲弊し限界に達しているため、値上げに踏み切ることにしたというものです。
私はここには数多くの考えるべきテーマが存在していると思っていますが、その中でも大きなテーマはふたつ。ひとつは、「win-win-winでなければいつか破綻する」ということ。もうひとつは、「現場の創造性を確保するためには余裕が必要だ」ということです。
今回は前者について話をしたいと思います。

実は私もかなりのAmazonユーザーでして、毎月4~5回はAmazonを通じて買い物をしています。Amazonは年会費3900円を支払うとプライム会員となり、基本的には翌日配達、送料無料となっています。(地域や商品によって差があります) 
また、プライム会員になると、音楽や映画もネットを通じて聴き放題、見放題。Apple Musicが980円/月ですから、音楽配信だけでもAmazonの方が断然格安です。

店舗での買い物とネット通販を比較した際のネット通販の課題は、実際に商品を手にとって確認することができない、配送に時間がかかりすぐに手元に届かない、配送料がかかるということかと思いますが、すでに買うものが明確になっているのであれば、翌日配達、送料無料のAmazonであれば課題は全てクリアされます。
私はAmazonの回し者ではありませんが、こうしたメリットを高く評価してAmazonでの買い物を続けてきました。しかし、ヤマトをめぐる報道に触れると、送料無料をいつまでも続けることには無理があると感じます。


商流上の力関係など成り立たない

一消費者の立場からすると、欲しいものが翌日配達、送料無料で届くと言われれば、こんなに素晴らしいサービスはありません。しかし、送料無料とはいっても、配送自体にはコストがかかっているわけですから、誰かがその費用を負担しなければならない。
今回明らかになったのは(だいたい想像がついていましたが)、Amazonとヤマトの力関係から、かなりの割合でヤマト側が負担していたということです。送料無料とすることで、Amazonの売上やネット通販市場が飛躍的に伸びました。そうなると消費者とAmazonはwin-winですが、配送サービスを破格の値段で請け負わされているヤマトだけがlose。win-win-winの関係になっていないため、歪みが生じて今回のような問題になってしまったわけです。

今の世の中、1社単独でサービス提供できる時代ではありません。様々なビジネスパートナーと一緒にサービス提供することが当たり前になってきていますから、自社とお客様がwin-winであれば良いと考えていては長続きしません。サービスをともにつくりあげているビジネスパートナーにとってもwinとなるようなwin-win-winのモデルでなければ、いずれ破綻してしまいます。

今回のヤマトの問題においては、送料無料というお客様メリットと、ネット通販売上を上げたいというAmazonの成功シナリオだけを考え、配送を担う重要なビジネスパートナーであるヤマトをなえがしろにした結果、モデルが崩れてしまっているわけです。佐川急便はすでにAmazonのビジネスから撤退しているようですので、ここでヤマトに撤退されたらAmazonの配送を担ってくれるパートナーがいなくなり、Amazon自体も破綻しかねません。Amazonや消費者である私たち自身もある程度の配送料を負担することでバランスをとっていくことが必要になるのでしょう。

商流上の力関係、つまり発注する側とされる側では、する側の方が力が強く儲けることができる、などという関係はもはや成り立たないのです。


Win-win-winは最大かつ永遠に追求すべきテーマ

当社においても協力会社との協業なくしてビジネスは成り立ちません。お客様に価値を提供することはもちろんのこと、協力会社のビジネスの成功、当社業績の維持拡大も同時に実現させていく必要があります。

お客様からの厳しい要求、同業者との競争激化の中で、win-win-winのモデルを成り立たせることは非常に難しいのは事実です。しかし、お客様にとってのwin、協力会社にとってのwin、そして当社にとってのwinが何であるかをよく見極め、うまくバランスを維持していくことが求められています。

win-win-winの実現は事業継続していくための最大かつ永遠に追求すべきテーマです。このこと常に意識しながらビジネスの組み立てをしていきたいと思います。




2017年3月14日火曜日

経営理念策定プロジェクトキックオフ

昨日、経営理念策定プロジェクトのキックオフを行いました。
このプロジェクトは、当社が事業継続70年を迎えるにあたり、今後100年続く会社であるために目指すべきビジョン、大切にすべき価値観や行動指針などを明らかにするためのプロジェクトです。
社内でプロジェクトメンバーを募集したところ、22名の社員が手を上げ集まってくれました。本当にありがとう!

会社は価値がなければ存在し続けることはできません。その意味で、70年という期間継続できたということは、お客様、協力会社(ビジネスパートナー)、社員、株主、金融機関といった様々なステークホルダー(利害関係者)や社会に対して、なんらかの価値を提供し続けることができたということだと思います。

そこでこのプロジェクトは
  1. それぞれのステークホルダーから見たこれまでの当社の価値を再確認
することからスタートし、
  1. それらの価値がどのような考えや行動から生み出されたのかを探る
  2. 今後100年続く会社として新たに大切にすべき考えやや行動があるかどうか検討する
  3. 2と3を後世に語り継ぐ”経営理念”として言語化、明文化する
  4. 経営理念を社内外に浸透させる施策を検討する
  5. 実行
といった流れで進めていきます。

昨日はまず、社員として、またお客様や協力会社の立場からみた当社の価値についてメンバーで議論することから始めました。

社員の立場
・なんだかんだ働きやすい
・若い時から大きな仕事をまかされやりがいを感じる
・年齢や役職に関係なくざっくばらんに意見を言い合える

お客様の立場
・安心して仕事を任せられる
・どんなことがあっても最後まで仕事を終わらせる
・依頼したことプラスαの提案をしてくれる

協力会社の立場
・最後まで面倒を見てくれる
・現場でのサポートがあつく仕事がしやすい
・監督と職人のチームワークや信頼関係があつい

といった意見が中心だったでしょうか。

次に、事前に数社のお客様と協力会社に対して実施したアンケートから、当社に対して抱いている思いや評価を共有し、上記の仮説との比較をしてみました。
概ね仮説と大きなズレはないものの、中には意外なコメントもあり、生の声の説得力の大きさを感じます。

そこで次回までに、より多くのお客様/協力会社の生の声を集めて、当社の価値についての議論を深めるとともに、ステップ2以降に進めていきます。
次回はオフサイトで1泊2日の合宿です。普段の業務から離れて、じっくりと考え、語り合うことで、メンバーのチームワークの向上にもつながることを期待しています。

経営理念を策定し、社内外に浸透させていくことは、社員の結束を固め、お客様や協力会社との信頼関係を強めるとともに、素晴らしい社風や文化を継承していくうえでも大変重要な取り組みです。
楽しみつつも、納得のいくまで議論をし、最高の理念に仕上げていきましょう。