2011年11月28日月曜日

製紙とハイテクの融合プロジェクト

NKK社の米子工場新設の現場を訪問しました。NKKは、コンデンサ用のセパレータで世界トップシェアを持つ特殊紙メーカーです。作っている製品からすると、製紙業界というよりは、むしろハイテク業界に位置づけられるのかもしれません。製紙業界においては、大規模改造はあっても、国内での新マシンの建設ですらあまり聞かれなくなりましたが、NKKは新しい工場の建設に乗り出しているわけですから、雇用創出の面からも大きな動きになります。また、製造業全体でも生産現場が海外にシフトする傾向にある中で、国内で工場建設プロジェクトに携われるということは、お客様、当社双方のプロジェクトメンバーにとって、非常に貴重な経験となるでしょう。

プロジェクトの現状としては、土木・建築についてはだいぶ進んできており、当社メンバーの乗り込みは先週からということでした。いよいよこれから寒くなる時期を迎えるとともに、設備工事も本格化していくことでしょう。驚いたのは、作りだす製品の大きさ(厚みは15~130マイクロメートル)のイメージとは異なり、全長約200mとかなり大規模な工場であることです。また、今回建設するラインの他に、第2、第3のラインが建設できる敷地面積は十分確保されていますから、今後の需要の拡大とともに増産体制をとることが可能です。こうした動きからも、ハイテク産業の成長の一翼を担っていると感じます。

製紙業界は装置産業であり、一度建設した生産ラインをいかに効率的に動かして、コストを下げながら大量に生産することが求められます。一方でハイテク産業においては、技術の進歩と需要の変化のスピードにいかに早く対応できるか、その柔軟性と先進性が求められます。NKKの工場は、この両方の要素が求められる非常に面白い工場であるのではないかと感じました。プロジェクトメンバーの皆さんには、本プロジェクトに携わることが、製造業全体においても如何に貴重な経験であるかということを感じていただきたいですし、また過去の製紙業界における豊富な経験を活かしつつ、同時にハイテク業界にある新鮮な技術要素を吸収することにも意識を置きながらプロジェクトに臨んでほしいと思います。


2011年11月9日水曜日

パラダイムシフト②

今回もパラダイムシフトについてもう少し考えてみます。「パラダイムシフト」をウィキペディアで調べると、「その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化すること」とあります。この説明では、まだピンときませんよね?もう少ししっかりと理解してもらうために地図にたとえてみます。(参考:「7つの習慣」)


初めて訪れる場所を歩く時には必ず地図を見るでしょう。地図に記載されている場所と実際に見えている景色を照らし合わせながら歩きます。しかし、その地図が間違った、別の場所の地図だったらどうでしょう?地図に記載されている場所が見当たりません。その場所を探して2倍のスピードで一生懸命歩きます。しかし、その結果は2倍のスピードで間違った場所にたどり着くだけです。今まで歩いてきた道を振り返り、地図の見かたや方角を確認したりと色々考えますが目的地には着きません。何故なら地図が間違っているからです。


人はそれぞれ頭の中に地図(パラダイム)を持っていて、あらゆる経験をその地図をもとに解釈しています。その地図が正確であるかどうかを疑うこともなく、物事は「こうだ」「こうあるべきだ」と思い込んでいるのです。


今、起きていることは、現実が今までの地図とがらっと変わっているのに、以前と同じ地図を持ちながら歩いているのと同じです。つまり、今までと同じ地図を正確であると信じて歩いても、実際の景色や道路は以前と異なるため、目的地にたどり着けず迷ってしまいます。この時、自分の歩き方や方角を反省しても意味がありません。そもそも頼りにしている地図そのものが間違っていることに目を向けなければ、根本的な解決にはならないということです。この時、地図が間違っているのではないか?ということに気づくことがパラダイムシフトです。


重要なことは、お客様、競合相手、協業パートナーといった市場環境をよく見つめ、それに合わせて、頭の中の地図を柔軟に修正していくことです。従来の地図にとらわれていては、大きな進歩はありません。パラダイムシフトで新しい発想を持って、厳しい建設業界を勝ち抜いていきましょう!

パラダイムシフト①

本日の日経新聞に「建設業昨年の従業員数過去最低に」という記事がありました。景気低迷や公共事業の減少を背景に、前年実績を3年連続で下回り、過去最低になったそうです。建設業界における国内市場の減少、およびそれに伴う建設会社と従業員数の減少については、ここ数年に始まったことではなく、バブル崩壊以降一貫して減少傾向にあることは、社内でも研修会などで何度か説明していますから、聞いたことがある人も多いでしょう。最近では、毎日1件は日本企業の海外進出や海外設備投資の話題が新聞に載っていることからも、製造業の海外シフトが加速していることが分かります。私たちの市場環境は大きく変わりつつあるのです。

市場が変わるということは、競争のルールが変わることです。今までの常識や経験が通用しないこととも多々ありますから、私たちも新しいルールを早く習得して、闘い方や守り方などの戦略を見直す必要があります。しかしこれが難しい。。。時に「今までの常識や経験」が邪魔をして、柔軟な発想を妨げることがあるからです。ここで必要なのがパラダイムシフトです。

以前紹介した「7つの習慣」では、「7つの習慣」を理解するためには、まずパラダイムをシフト(転換)させる方法を知らなければならないとし、パラダイムシフトについて以下のように説明しています。

『人は、物事をあるがままに、つまり客観的に見ていると思い込んでいるのが常である。しかし、私たちは世界をあるがままに見ているのではなく、私たちのあるがままに世界を見ているのだ。物事を説明しようとすると、それは結果的に自分自身、自分の知覚、自分のパラダイムを説明しているにすぎない。そして自分の意見に相手が賛成しないとなれば、すぐにその人が間違っていると思ってしまう。』


自分のパラダイムを前提に意見交換を行っても、お互いになかなか理解し合うことはできません。しかしそれは、それぞれが経験という「レンズ」を通して、同じ事実について異なる見方をしているだけであって、どちらが合っていて、どちらが間違っているということではないということです。『立場はその人の立っている場所によって異なる』というだけなのです。自分のレンズを取り外すことができた時、頭の中に光が差し込むように、あ~、なるほどという感覚を持つことができるはずです。これが、パラダイムシフトです。Hello, Idea であり、アハ体験です。非常に大事な考え方ですから、このパラダイムシフトについてはまた次回、例を用いながら説明します。