来年4月から人事制度を改定します。すでに各営業所をまわって説明会を実施してきましたが、本ブログでも何回かにわたってその趣旨および内容を説明したいと思います。
初回は人事制度改定の趣旨と基本的なコンセプトについて説明します。そもそも人事制度とは、社員の採用、異動、評価、処遇(給与・賞与)、育成など、入社してから退職するまでの「人と組織」に関する様々な事柄を制度として定めるもので、会社の経営戦略、理念、文化などが反映されたものになっています。また、社員のモチベーションやスキルの向上につながる労働環境づくりも意識されなければなりません。しかし、社員の労働環境、生活に直結しているため、一度その枠組みを作るとなかなか大きな変更には踏み切れず、市場や経営環境と人事制度にずれが生じたまま運用している会社も少なくありません。その結果として、モチベーションの低下を招き、本来持っている能力が引き出されなかったり、スキルそのものの向上の妨げになったりしてしまうことがあります。当社でも長年「年功制」という考え方の人事制度を運用してきましたが、昨今の労働市場、経営戦略などとのズレが生じてきたため、今回制度改定を行うことにしました。
「年功制」は年長者、勤続年数の長い社員に高い処遇を与えるもので、戦後多くの日本企業が導入してきた制度です。年功制は、経験を積めばそれだけ能力が上がり、会社への貢献度が高まるということ、また、一度入社したら定年まで勤めあげるという終身雇用が前提となっています。しかし、ITをはじめとする様々なツールが導入されたり、仕事の内容に知的労働の要素が多く含まれるようになってからは、一部の「職人技的仕事」を除いて、必ずしも年長者ほど能力が高く、会社への貢献度が高いとは言い切れなくなってきました。また、長引く不況の影響で会社が定年までの雇用を約束することも困難になり、また同時に、社員側もより良い労働環境を求めて転職をすることも一般的になってきており、終身雇用という前提も崩れつつあります。そのため、多くの企業で人事制度の「年功要素」を薄める傾向があり、当社でも「年齢」によって処遇を決めるのではなく、本来の「スキルや能力、会社への貢献度」に応じた処遇をするという考え方で人事制度を改定することにしました。
「年功制」には長く勤めてもらうことにモチベーションを持たせる意図がありますが、新人事制度では「スキルや能力を上げること」にモチベーションを持ってもらうことを意図して設計してあります。例え年齢が若くても、本人の努力によってスキルアップをして、会社へ高い貢献をしてくれる社員には、高く処遇します。逆に、年長者であっても、向上心を失ったり、持っている能力を充分に発揮せずにいれば、処遇が低く抑えられることになります。これが新人事制度の基本的なコンセプトです。しかし、年齢という尺度は非常に明確で分りやすいのですが、スキルや貢献度とは抽象的で、また人によって解釈が異なる為、「人事制度の基準」を明確にする必要があります。これが「等級制度」です。次回は等級制度について説明します。
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