今回は「人事制度の基準」となる「等級制度」について説明します。等級制度とは、社員をその職務内容や責任範囲で区分けしたり、保有するスキルや発揮能力によって段階付けをしたりする仕組みです。採用、異動、評価、処遇、育成など全ての人事施策は、この等級制度に基づいて判断、実行され、人事施策の統一性、一貫性を維持できます。
等級制度では、大きく「総合職」と「一般職」に区分します。総合職とは、会社の事業を主体的に牽引する社員で、そのスキルや能力の高さによっては、管理責任を持ったり、役職についたりします。また、転居を伴う異動も行われることがあります。一方、一般職は会社事業を補佐的に行う社員です。サポーターですから、管理責任はなく、管理職になったり役職に着くこともありません。また、転居を伴う異動も行われません。
現在の工事職、営業職、技術職、事務職の一部は総合職の仕事といえます。事務職には、企画業務や社外の利害関係者との折衝など、事業に大きく寄与する業務と、伝票処理などの反復的な事務処理業務に分かれます。この場合、前者は総合職、後者は一般職の仕事といえるでしょう。社員の皆さんには、今回の制度改定のタイミングで、今の業務内容にかかわらず、今後総合職として働きたいか、一般職として働きたいかを選択してもらいたいと思います。この機会に自分自身の当社における仕事の仕方やキャリアについてじっくりと考えてみてください。
次に段階付けについて説明します。社員はそのスキルや発揮能力によって、総合職は6段階、一般職は3段階に段階付けがされます。この段階を等級といい、全ての社員には、どこかの等級が割り当てられます。また、それぞれの等級で求められるスキルや行動が職種ごとに定義されており、自分に割り当てられた等級ではどのような行動が求められるのか、また、ひとつ上の等級に上がるためには、どのようなスキルアップが必要なのかが分かります。自分自身で成長の方向性を見出すことに加え、上司と部下で人材育成に関する共通認識を持つことにもつながります。
等級と給与にも密接な関連付けがされています。等級ごとに、給与の最低額と最高額が決まっており、この範囲内で給与が支給されます。等級があがれば(等級があがることを昇格といいます)、最高額が引き上げられ、年齢に関係なく昇給し続けますが、同一等級でいる限りは、最高額に達した時点で昇給が止まります。つまり、継続的なスキルアップをして昇格しない限り、いつか昇給が止まってしまうということです。年功制では、長く勤めることにモチベーションを持ってもらいましたが、新人事制度では、等級制度という基準(モノサシ)を使って、上位等級に上がること、つまりスキルアップと会社への貢献度アップにモチベーションを持ってもらう仕組みなのです。
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