2012年4月17日火曜日

質問をするためによく理解しておく

皆さんは1日にどれくらい質問をしますか? 何か不明なことがあったときに、人は質問をします。そしてその答えを入手することで、知識を身につけ成長します。私の3歳の息子は、毎日50回は質問してきます。

息子:どうして○○なの?
父:△△だからだよ。
息子:△△って何?
父:××をすることだよ。
息子:どうして××をするの?
父:××したいから。
息子:どうして××したいの?
父:どうしても!
息子:ねえ、どうして?
父:・・・(無視)

みたいなやりとりが毎日続きます。しかし、このやり取りは、1年前にはありませんでした。3歳になって、色々な知識、経験、感情を蓄積し、本人なりに色々と考えられるように成長したから、質問攻めができるようになったのでしょう。この質問のやりとりは、大抵の場合は親サイドが、面倒になって強制終了させてしまいますが、まれに「なるほどな」とか「いいところをついてくるな」と思わされることがあります。質問されることで、こいつよく分かってるな、成長したなという印象が与えられるわけです。

よく、「何か質問ある?」の問いに、「何を質問していいか分かりません」と答える人がいます。そうです、分からなければ、質問ができないのです。質問は、分からないときにするものなのですが、分からな過ぎると、質問もできないのです。ですから、質問をするということは大事なことです。私は新入社員に、「必ず毎日質問をすること」と入社当日に話をしました。初めての社会、環境、会社、仕事、、、その中で毎日分からないことの連続です。ですから、少しでも分からないことがあれば、そのままにせず、すぐに質問をしてクリアにするようにと言いました。(新入社員の皆さん、覚えてます??) しかし、質問に至るまでのことをよく聞いて理解していなければ、質問をしようと思ってもできません。ですから質問をしようとすれば、自然と話をよく聞くようにもなるのです。そして、よく話を聞いたうえで的を射た質問をしれば、「よく話を聞いているな」という印象を相手に与えますから、会話やコミュニケーションが発展します。

お客様とのコミュニケーションにおいて質問は非常に重要です。デキル営業は「よく話す」と思われがちですが、一方的にマシンガンのようにセールストークをするのは最低な営業です。営業に必要なのは「よく話す」ことではなく、「適切なことを話す」ことです。相手が求めていることを伝えなければ、セールストークもただの騒音になってしまいます。相手が求めていることを知るためには、質問をして「よく聞く」ことが必要です。ですから、「よく話す」ことより「よく聞く」事の方が、遥かに重要なスキルなのです。

また、分からないことだけでなく、本当は分かっていることでも敢えて質問することで、お客様のことをよく理解しているという印象や、理解したいという熱意を与えることができます。そのためにも、お客様のことをよく理解しておくことが必要です。単に、全然分かりませんという態度で臨むのではなく、「私の理解はこうですが、これで正しいですか?」などの質問であれば、なおいいでしょう。重要なことは、質問をするためによく理解しておくということ、そしてできるだけ多くの質問をするということです。

2012年4月13日金曜日

品質かそれともコストか

ある特殊紙メーカーのお客様が、「最近、品質を重視すべきかコストを重視すべきなのか分からず悩んでいる」という話をしておられました。お客様が製造しているのは、精密機器に使われる非常に繊細な製品であるため、その品質には細心の注意を払っておられますし、また高品質であるがゆえに、現在世界トップシェアを維持しておられます。しかし、最近では海外企業とのコスト競争が激しく、多少の品質は落としてでも、価格を下げてほしいという要求が強い。周りを見渡しても結局”安い”方が勝っているように見えると仰っていました。日本が世界に誇る製造業、特に電気業界は、完全に中国、台湾、韓国などの企業にシェアを奪われ、すでに過去の栄光となりつつあるように思えます。彼らは国のバックアップのもと、急速なグローバル展開を実現しています。長引く円高をはじめ、政治的な問題も多分にあるものの、私たち日本の製造業自体も意識を変えなければいけない部分もあるのかもしれません。

日本の製造業は、長年に渡りその品質を売りにしてきました。今でも品質は世界トップクラスであると思います。しかし、世界の市場では、多少品質を落としてでも低価格であることが優先されつつあります。私たち日本人も、日本の製造業の品質を自負しつつも、消費者の立場となると一転してコストを優先するケースも増えています。今求められているのは、品質よりも価格、もしくはイノベーション(革命)です。iPhone, iPadといった携帯端末は、明らかに私たちのライフスタイルに革命をもたらしました。品質ももちろん高いですが、革命をもたらしたことが、大ヒットにつながった要因だと思います。逆に革命をもたらすことができないのであれば、品質よりも価格が重視されるということでしょう。しかし、今まで品質最優先で培ってきた”職人気質”は、そう簡単に変えられるものではなく、そこに市場ニーズとのギャップが生じているのだと思います。価格を下げろと言われても、体にしみついた職人魂が品質を下げるなどということを許しません。最高品質のものを最低価格で提供できれば問題ないのですが、それがそう簡単ではないためにジレンマが生じます。

私は、この悩みは建設業を含む全ての製造業で起きていると思っています。まさに当社もこのジレンマに悩まされています。私が社員に当社の強みは何かと聞けば、必ず高品質、納期厳守、誠実などを挙げてきます。現場の仕上がりを他社施工と比較すれば一目瞭然、機能性、見た目ともに抜群で、随所に細かい配慮がされています。長年に渡って受け継がれてきた職人魂を感じます。しかし当社も今、熾烈なコスト競争の真っただ中にいます。その競争の勝つために、品質を落として施工するか?そんなことは職人魂が許しません。そこにジレンマがあるわけです。

このお客様と話をしたうえでの私の結論としては、まず品質を維持しながらコストを下げる努力を最大限に行うこと。そのうえで、品質重視であるかコスト重視であるかをお客様に選択してもらうということです。もちろん、低品質でいいですか?と聞けば、いいと言うわけがありません。ですから、コストを下げるための様々な仕様のオプションをお客様に提示し、どこまでの仕様ダウンは許容範囲であるかを見極めていく必要があると思っています。最近よく、松竹梅もしくはAプラン/Bプランで見積を出すようにと話しています。もちろん、複数の設計を考慮しなければいけないため、見積作成には時間がかかります。しかし、このひと手間をかけて、お客様に価格と仕様の双方を納得いただかなければ、受注もできませんし、win-winの結果にもなりません。自分たちの勝手な思い込みで最高仕様の設計をすることは、単なるエゴにもなりかねません。この点でも、お客様のニーズを読み取るということが必要になってくるのだと思います。

2012年4月12日木曜日

ソリューションカンパニーへの第一歩

新年度のスタートにあたり毎年恒例の全社研修会(稼働中の現場もありますから実際に集まることができるのは6割ほどですが)を行いました。リーマンショック以降非常に厳しい状況が続きましたが、昨年度はやっとトンネルから抜け出し、今年度から始まる中期計画の出発点に立つことができました。そこで今回の研修会では、一昨年に掲げた当社のビジョンである「設備工事会社から設備のソリューションカンパニーへ」というスローガンについて、社外のゲストスピーカーの講演も交えながら改めて理解を深める機会としました。

まず、ソリューションカンパニーと設備工事会社のちがいについて、改めて以下の3つの観点から説明します

1. きっかけは「ニーズに対応」→「ニーズを読み取る」
顧客から提示された要求やニーズに対して受け身の姿勢で応えるのではなく、こちらから顧客ニーズを読み取り、そのニーズに積極的に応えていく必要があります。お客様のニーズは年々複雑化し、高度になってきています。また、課題が潜在化していてお客様自身が課題に気づいていない、もしくは整理しきれていないこともあります。まずは、お客様がどのような課題を持っていて、そこに潜んでいるニーズはどのようなものであるかを読み取ることが、案件のきっかけとなるのです。

2. 勝負は「価格」→「提案」
案件の価格競争は年々厳しさを増していっています。コスト削減や効率化を進めて提示価格を下げる努力も必要ですが、提案によって案件や当社自体の付加価値を上げ、そこで勝負することが重要です。

3. 目的は「つくること(工事)」→「価値を生み出すこと(ソリューション)」
ビジネスの目的、つまり利益の源泉は、工事をしてつくることではなく、つくることによって生み出される価値にあります。お客様は、どのような価値がもたらされるかということに対して投資をするということを意識してください。

ソリューションカンパニーとしてのビジネスの流れは、お客様のニーズを発掘し、そのニーズを満たすための提案をし、その提案を具現化することによって価値を創り出すとなります。肝となるのは、自分の知識の引き出しをたくさん持って、お客様のニーズに最適なソリューションを適宜引き出しから出せるかどうかにあります。


当社は、お客様のニーズを満たすことができる様々な技術を持っています。多様な施工技術を保有していますし、ハイレベルな設計力もあります。こうした技術は当社の有力な売り物(商材)なわけですが、まだこれらの商材に対する知識にバラつきがあり、うまくアピールできていないように思えます。まずは、当社にどのような商材があり、その商材がどのような価値を提供できるのかをしっかりと理解することから始めましょう。今年度は、改めて当社の施工技術力、設計力などを棚卸し、その優位性をアピールするためのツール作りやトレーニングを実施したいと思います。ひとつでも多く引き出しを持ち、全社員がソリューションカンパニーへの第一歩を踏み出せるよう頑張りましょう。