お客様によって、やりやすい現場とやりにくい現場があると思います。短期間にお祭り騒ぎの中で一気に終わらせるような現場もあれば、時に家族よりもお客様と接している時間の方が長くなるような長期の現場もあります。そのような長期の現場では、徐々にお互いの「人となり」が見えてきます。そうなると、仕事ができる/できないということに加えて、その「人となり」に合わせながら付き合っていく必要が出てきます。それは、性格であったり、価値観であったりで、「なんとなく合わない」ということも多くあるでしょう。そう思い始めると、お互いに意識したり、見えない壁などができてしまい、ぎくしゃくすることもあります。また、お客様から理不尽なことを言われ、カチンとくることもあると思います。そのような時には決して「感情」で対応せずに、ぐっとこらえるようにしてください。何故なら、相手はお客様だからです。
私たちは、お客様に提供する価値や満足の対価としてお金を支払っていただいています。ですから、受注したからにはお客様に価値を感じてもらわなければいけません。これは施工品質さえ良ければいいというものではありません。私たちが提供する価値には製品価値と経験価値というふたつの種類があります。工事で創り上げる納品物が製品価値だとすれば、工事期間中にお客様が受けた当社の印象が経験価値となり、この双方が満足できなければ、価値が提供できたとは言えません。製品価値がいくら高くても経験価値が低ければ満足度は下がりますし、逆に経験価値が高ければ多少の品質には目をつぶってもらえることもあります。製品価値だけで勝負しているのは職人と呼ばれる人たちです。職人は自分の創り上げる製品価値が理解できない人は相手にしない傾向にあります。「俺の握った寿司が食えねえなら帰れ」といったかたちです。しかし、私たちは職人ではなくビジネスマンです。ビジネスである限り、製品価値と経験価値を両立しなければ、評価はされないということを理解してください。
お客様は時に理不尽です。確実に相手が間違っているという時もあるでしょう。しかし、その場で感情的な対応はせずにぐっとこらえて、後で会社として対応するようにしましょう。お客様の要求を全て飲めと言っているのではありません。理不尽な要求は飲めませんから、その場は相手の気分を害さないように応対し、後で持ち帰って会社として組織的な対応や申し入れをすれば良いのです。お客様も人間です。こちらがいつも気持ちの良い対応を心掛ければ、やがて理不尽な要求もなくなり、最終的には経験価値をあげることにつながるでしょう。ストレスがたまったら、私も含め上司に愚痴って発散させて、翌日はまた笑顔で現場に戻りましょう。経験価値を上げるということも重要なサービスだということを意識してください。
2013年2月24日日曜日
2013年2月17日日曜日
「安全」と「効率」
先日、当社の協力会の安全祈願として成田山へ行ってきました。成田山は、先日亡くなった歌舞伎役者市川団十郎とも縁が深く、成田屋の屋号を名乗るようになったのも、成田山の御不動さまとのご縁からとのことです。(市川団十郎と成田山のご縁)
当日は、御護摩(おごま)祈祷によって一年の無事故無災害を祈願しました。御護摩とは、炉の中に細く切った薪や供え物を入れて燃やし、火の神が煙とともに供え物を天に運び、天の恩恵にあずかろうとするものだそうです。成田山では、さらに祈祷に訪れた人の持ち物(鞄や財布など)を、御護摩の火に当てて、御不動様の御利益をいただくということも行ってくれます。残念ながら当日私は手ぶらでしたが。。。
年明けを中心にこうした安全祈願を毎年行いますが、無事故無災害を達成することはなかなかできません。残念ながら今年もすでに交通事故が発生してしまいました。こうした現場事故や交通事故を、故意に起こす人は誰もいません。しかし、その原因を探っていくと間接的には意図的に事故を起こしていることが分かります。つまり、わざと怪我をしたり、モノを落としたり、壊したりすることはありませんが、効率、スピード、楽(らく)を求めるが故に、本来すべきことを敢えてせずに結果的に事故につながっていることが大半です。車の運転でいえば、教習所で教えられたように交通ルールを100%守っている人はどの程度いるでしょう?40km規制道路で40km以下で走っていますか?一時停止サインで完全に停止していますか?(さすがに飲酒は100%守られているでしょう)交通ルールは認識していますが、早く到着地に着きたいということから敢えてこのルールを破って運転している人が多数だと思います。この意図的なルール違反が現場でも事故につながっているといえます。
仕事ではしばしば効率性が求められることがあります。効率が結果的に利益につながることが多いからです。しかし、効率を求めて事故を起こしてしまっては大きな損失になります。事故そのものの損失だけでなく、信頼を失うことによる損失は測り知れません。「安全は何物にも優先される」という標語をよく見かけますが、これは仕事の効率よりも安全を優先すべきということです。安全を優先しろとい言う一方で、仕事を効率的に行い利益をあげろと言う。矛盾していますが、「安全」と「効率」、この矛盾するふたつをどのように両立するかは、個々の意識の持ち方とバランスとしか言いようがありません。無駄に何重にも安全対策をとる必要はありませんが、リスクを冒してまで効率を求めることは御法度です。
この意識やバランスが保てず事故を止めることができない場合、会社としてはその責任から制裁を加えたり、多くの安全対策投資をせざるを得なくなります。例えば車の運転を一切禁止すれば交通事故はなくなるかもしれません。各現場に安全対策専任者を数名配置して指導すれば現場事故は減少するかもしれません。しかしそれはナンセンスですし、本質から逸れてしまいます。ですから、ひとりひとりの意識とバランスが重要なのです。敢えてルールを逸脱しようとした時に、必ず一度立ち止まりそのリスクを考えてみてください。そのクセをつけることが一番の安全対策だと思います。
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