2014年1月19日日曜日

仕事の意味を知る

現場監督という仕事をしていると、仕事=工事=ものづくりという視点になってしまうことがあります。与えられた予算と工期の中で、図面に描かれた設備を職人とともに作り上げる。確かにこれが私たちの仕事ですし、これだけ考えていれば目先の仕事は成り立ちます。しかし、この視点だけで仕事をしていると、極端にいえばその仕事が単なる作業の繰り返しにもなりかねません。お客様は私たちの作業にお金を出しているのではありません。私たちが工事によって作り上げたその設備が生み出す価値に対して投資をしているのです。ですから、その設備がどのように機能して、その結果お客様はどのようなメリットが得られるのか。それを自分や当社の仕事の範囲だけでなく、お客様の投資の全体像を理解して仕事にのぞんでみてください。

私は正直、工事そのものの技術的な詳細についての見識は深くありません。しかし、ひとつひとつの工事の意味は必ず把握したいと思っています。私が現場に視察に行く時には、皆さんの仕事ぶりを見るだけでなく、個々の設備がどのように機能するのか、プロジェクト全体の目的や狙いはなんであるかなどを尋ねることがしばしばあります。これは、一見現場の仕事そのものと関係がなさそうに感じることもあるかもしれませんが、とても重要なことだと思っています。皆さんが現場で関わっている仕事の意味を知ることで、当社がお客様や社会にもたらす価値やインパクトを知ることになるからです。私や営業の人達は、その立場上案件の経緯や目的、事業戦略などの話をお客様から伺う機会が多くあります。その度に当社が関わっているプロジェクトの重要性や、個々の仕事の価値の高さに驚くとともに、このような素晴らしい仕事に会社として携わることができることへの喜びを感じるものです。

例えば、当社が昨今数多く経験している板紙工場の改造工事、これは段ボールを薄くして強度を高めるための改造です。段ボールが薄くなることで、荷物の大きさが小さくなり、結果的に一台のトラックへの積載量が増え、物流効率がアップすることになります。また、昨年施工した製薬工場ではインフルエンザワクチンの製造を劇的に早く行えるようになるそうです。今の時期、まさにインフルエンザが流行していますが、予防接種を受けたにもかかわらず感染してしまうことがあります。インフルエンザの予防接種は毎年の流行を予測して作っているらしいのですが、これは流行するだいぶ前から作り始めなければ必要量を生産できないためだそうです。しかし、この新しい生産設備では流行する型が分かってから生産し始めても十分な供給量をこなすことができるということです。

このように個々の工事物件にはかならずお客様の戦略上の重要な意味があります。それを理解することで、自分のしている仕事の意味や意義、価値を見出すことができ、設備を作るさらなりやりがいにつながるのではないかなと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿