2014年10月31日金曜日

守備堅め

 昨年から受注が順調に伸びてきており、今年度は6年ぶりの完成高100億を達成することができそうです。"ONE for 10 Billion"100億体制への復帰を掲げて3年間、売上は90億台にとどまり、100の壁を乗り越えるのに苦労してきましたが、皆さんの努力と戦略的かつ積極的な攻めの営業活動の成果といえるでしょう。ただ、昨今低迷していた設備投資は回復基調にある中で、市場の追い風にのって受注額を伸ばすことは、それほど難しいことではありません。受注したプロジェクトを予算どおり、もしくは予算以上の利益を残して終わらせ、会社の業績を伸ばしていくことができるかどうかで、はじめて会社に力がついたと評価されます。そのためには、攻めるだけではなく、堅実な守りを行う必要があるのです。

スポーツの世界にも必ず攻めと守りがあります。4番打者だけでも、センターフォワードだけでもチームとしては成り立ちません。チームには色々な役割が存在し、攻めを得意として果敢に得点を取りにいく人もいれば、相手の攻めをブロックして失点を防ぐ人もいます。その攻めと守りの双方がうまく機能することで組織力が発揮され、本当に強いチームとして勝利を手にすることができます。

私たちも常に様々なリスクに囲まれており、これらを回避していかなければ成功を手にすることはできません。脇目も振らずに前に突き進んでいくだけでなく、どこにリスクが存在するか様々な注意を払いながら進み、万が一のことが起きた時もできる限り最小限のインパクトに抑えなければなりません。しかし、当社ではリスクを個々の社員の力で回避しているのが現状です。皆さんは知らず知らずのうちにリスクを回避しようと必死に動いているわけですが、個人の力には限界がありますから、稀に守りきれずに危機にさらされてしまうことがあります。そうならないように、会社の仕組みとして守備力をバックアップしていくことが必要だと考えています。

私たちのビジネスには、法的リスク、災害/事故リスク、品質リスク、契約リスクなどのリスクが存在します。法的リスクにはコンプライアンスに対する取り組みを、災害/事故および品質リスクには安全活動やパトロール、施工手順書などの活用を、契約リスクには適切な業務プロセスと承認プロセスの確立など、会社としての仕組みづくりが重要になります。こうした仕組みの強化による守備堅めが下半期以降の注力ポイントだと考えています。これからは、個人の力に依存するのではなく、会社の仕組みでリスクを回避するための守備力を向上し、攻守ともに優れた会社に成長していきましょう。


2014年10月6日月曜日

技術サービスを売る

最近お客様との会話の中で、当社の設計サービスに対して高い評価をいただいていると感じる機会が多くあります。当社に高い設計能力があるから工事を発注するのだという言葉をいただくこともあります。これは競合他社との差別化になるような強力なアドバンテージだと思います。しかし、従来より当社の設計サービスは、工事を受注するためのツールと位置付けられることが多く、そのサービス自体の価値があまり評価されずにきたように思います。設計を安価で提供することで工事受注に結びつけ、工事予算の中で設計原価をまかなうという営業スタイルです。しかし、お客様の目が厳しくなり、少しでも安価で工事を行いたいというお客様が増えると、設計と工事を分離してそれぞれ最安値の業者に発注したり、多少の品質よりは安価を求めるあまり工事予算が削減され、設計原価をカバーしきれないといったことがしばしば起きてきます。これでは従来の営業手法は通用しなくなってしまいます。品質にこだわらなければ安価で工事を行う業者は溢れていますが、高品質な設計ができる業者は限られており、そこにお客様のニーズがあり当社の価値があるわけです。

また、製造業における団塊世代の引退に伴う技術力の低下も顕著になってきています。ここでいう技術力とは、製品開発を行うための技術力、製造設備を設計するための技術力、生産ラインを維持保全するための技術力など様々なのですが、こうした経験や技術をもった技術者が引退してしまうことによって、社内の人材だけでは全てをまかないきれなくなり、業務の一部を社外人材に頼らざるを得なくなってきています。そこで、製造設備のエンジニアリング支援や、維持保全計画の立案支援などの領域で当社が力を発揮できるところがあるのではないかと考えています。事実、一部のお客様に対してこうしたサービス提供を始めており、いまのところ一定の評価をいただいている状況です。今後本格的な事業展開を行うためには、技術者の体制や適切な価格設定など課題はありますが、市場ニーズや方向性としては概ね間違ってはいないという認識を持っています。

当社は施工会社ですから、設計やエンジニアリングをしたものを施工して、最終的には形にして納めるというというところからブレるつもりは一切ありません。しかし、冒頭にも書いたようにそれだけでは価値が薄れてきたり、場合によっては市場ニーズから外れる時があります。ですから、「施工」という柱の周辺にどのように付加価値をつけていくかということを考えると、設計/エンジニアリングといった技術サービスをひとつの付加価値として、また差別化要素として確立していきたいと思います。当社の技術部門の社員の皆さんにも、自分たちの提供しているサービスが市場においてどの程度の価値があるのかということをしっかりと認識していただきたいと思います。そしてその付加価値が、当社の施工会社としての価値をより一層高めていくのだということを理解してください。