2014年10月6日月曜日

技術サービスを売る

最近お客様との会話の中で、当社の設計サービスに対して高い評価をいただいていると感じる機会が多くあります。当社に高い設計能力があるから工事を発注するのだという言葉をいただくこともあります。これは競合他社との差別化になるような強力なアドバンテージだと思います。しかし、従来より当社の設計サービスは、工事を受注するためのツールと位置付けられることが多く、そのサービス自体の価値があまり評価されずにきたように思います。設計を安価で提供することで工事受注に結びつけ、工事予算の中で設計原価をまかなうという営業スタイルです。しかし、お客様の目が厳しくなり、少しでも安価で工事を行いたいというお客様が増えると、設計と工事を分離してそれぞれ最安値の業者に発注したり、多少の品質よりは安価を求めるあまり工事予算が削減され、設計原価をカバーしきれないといったことがしばしば起きてきます。これでは従来の営業手法は通用しなくなってしまいます。品質にこだわらなければ安価で工事を行う業者は溢れていますが、高品質な設計ができる業者は限られており、そこにお客様のニーズがあり当社の価値があるわけです。

また、製造業における団塊世代の引退に伴う技術力の低下も顕著になってきています。ここでいう技術力とは、製品開発を行うための技術力、製造設備を設計するための技術力、生産ラインを維持保全するための技術力など様々なのですが、こうした経験や技術をもった技術者が引退してしまうことによって、社内の人材だけでは全てをまかないきれなくなり、業務の一部を社外人材に頼らざるを得なくなってきています。そこで、製造設備のエンジニアリング支援や、維持保全計画の立案支援などの領域で当社が力を発揮できるところがあるのではないかと考えています。事実、一部のお客様に対してこうしたサービス提供を始めており、いまのところ一定の評価をいただいている状況です。今後本格的な事業展開を行うためには、技術者の体制や適切な価格設定など課題はありますが、市場ニーズや方向性としては概ね間違ってはいないという認識を持っています。

当社は施工会社ですから、設計やエンジニアリングをしたものを施工して、最終的には形にして納めるというというところからブレるつもりは一切ありません。しかし、冒頭にも書いたようにそれだけでは価値が薄れてきたり、場合によっては市場ニーズから外れる時があります。ですから、「施工」という柱の周辺にどのように付加価値をつけていくかということを考えると、設計/エンジニアリングといった技術サービスをひとつの付加価値として、また差別化要素として確立していきたいと思います。当社の技術部門の社員の皆さんにも、自分たちの提供しているサービスが市場においてどの程度の価値があるのかということをしっかりと認識していただきたいと思います。そしてその付加価値が、当社の施工会社としての価値をより一層高めていくのだということを理解してください。

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