仕事をしていれば必ず失敗をした経験があると思います。失敗することは恥ずかしい、失敗すると怒られる、できることなら失敗はしたくない、多くの人がそのように思っているかもしれません。失敗しない方法はただひとつ、「何もしないこと」です。しかし、何もしないのであれば、会社にいてもらう必要はありません。自動車メーカーのホンダでは、「No error, No play」と言われ、失敗しないのは何も挑戦していないことであり、仕事をしていないのと同じであるとされているそうです。私もまったく同感です。何かに前向きに挑戦するから失敗するのであり、その失敗から学ぶことで行動が改善され、進化につながるわけですから、失敗は絶対に必要なことなのです。
私は採用面接で「今までの人生において最大の失敗や修羅場経験はありますか? その時どのように対処して乗り越えましたか?」という質問を必ずするようにしています。人生経験においてどのような失敗をし、それをどのように受け止め、何を学んだかということを聞くことで、その人の今後の成長のポテンシャルを見ることができるからです。自慢げに成功体験を語る人より、多くの失敗経験をもち、苦労したが結果的に成長することができたという人を採用するようにしています。私もよく失敗しましたし、数々の修羅場もくぐりました。自分のミスによって多くのお客様にご迷惑をおかけし、背筋が凍る思いをしたことを今でも覚えています。上司に怒鳴られ、お客様に物を投げつけられたこともありました。しかし、こうした失敗経験によって、ちょっとやそっとの事では動じなくなり、ピンチの時にも「どうにかなる」「こうすれば切り抜けられる」と思えるようになりました。これはひとつの成長であり進化だなと感じています。
失敗した時にその失敗を自分事として受け止められるかどうかがポイントです。よく誰かの失敗に対して、「お前の責任ではないから気にするな」「忘れて次がんばろう」「あいつを責めるな」などと励ます人がいますが、これは本人にとって逆にマイナスだと思います。忘れてもらっては困ります。自分の失敗をしっかりと受け止め、失敗の原因を突き止めることで、同じ状況に直面したときに同じ失敗を繰り返さず適切な対処ができるようになる。それが自信になり、新たな次の課題にチャレンジでき、そして実力アップにつながるわけです。失敗から目をそらしたり、他人のせいにしたりすれば、その瞬間の精神的ダメージからは開放されるものの、学びが得られずかえって失敗への恐怖心が増し、チャレンジができなくなってしまいます。ですから、私は社員の失敗に対して「しっかり責任をとってください」と言うようにしています。これは、原因を究明し、自分自身が失敗を繰り返さないとともに、失敗体験を社内で共有し、自分と会社双方の学びにつなげてほしいという考えに基づくメッセージです。
失敗や課題認識は成長を意味します。逆に「成功した」と思った瞬間に成長が止まりますから、成功などないと思ったほうがいいのかもしれません。常に結果に対してより良いものを目指すということが失敗から学ぶということです。チャレンジ、失敗、成長のサイクルを継続して、より良い自分、より良い会社をつくっていきましょう。
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