2015年8月27日木曜日

上司を使う

皆さんにとって上司ってどんな存在ですか?自分を管理したり評価したりする人?分からない仕事を教えてくれる人?飲みに行ったらご馳走してくれる人?どれも間違っていませんが、「自分がやりたいことを完遂する」ための存在であることが一番の存在意義だと思います。仕事をしていると、様々な人と交渉をする場面があると思います。全て順調に物事が進んでいればいいですが、相手がこちらの思い通りに動いてくれない場合があります。いつまでも同じ言い合いをしていても時間ばかりが過ぎてしまいますし、感情的になっては人間関係が悪化してしまいます。だからといって諦めてしまっては元も子もないありません。そんな時は上司を使って交渉を前に進めるようにしましょう。俗に言う「上を出す」ということです。

施工現場も営業活動も単独で動くことも少なくありません。「現場代理人は社長の代理だ」とか、「現場責任者」といった言葉を聞くと、あたかも自分ひとりで全てのことを解決しなければいけないように聞こえますがそうではありません。現場担当者の責任というのは、自分一人で抱え込むことにあるのではなく、あらゆる手段を使って物事を前に進めたり課題を解決したりすることにあります。その手段のひとつに「上司を使う」ということも含まれます。自分ひとりでは解決できないことを上司に相談することは恥ずかしいことでもなんでもありません。むしろそれによって、リスクが大きくなる前に物事を前に進めることの方が大切ですし、上司を使って解決したことは、自分自身で解決したことと何ら変わりはありません。解決することが全てですから。

お客様との関係構築において重要だと思うのは、担当者どうしの点と点のつながりではなく、会社どうしの面と面で繋がることだと思っています。つまり、担当者は担当者どうし、部長は部長どうし、役員は役員どうしで繋がりをもち、階層別に関係構築を図ることで、揉め事が早期に解消されたり、交渉が前に進んだりと、ビジネスをスムーズに運ぶことができます。また、どこかの繋がりが異動や退職によって切れたとしても、別の階層では繋がりがありますから、結果的に会社間の関係が永く続くことにもなります。階層が上になればなるほど具体的な取引上の会話を頻繁に行うことはありませんが、少ないコミュニケーション機会において両社の重要な戦略や方向性を共有していますから、いざという時に「上の会話」で早期解決を図ることができるのです。だからこそ信念を持った上で交渉にのぞみ、課題が生じた時には安心して上にあげてきてほしいと思います。

仕事ができる人は、上手く上司や役員を使っています。それは、自分が信念を持って仕事をしているからこそ、一個人だけででなく、組織や会社として相手と対峙して、物事を解決したり前に進めたりすることができるからではないでしょうか。そのために使われることは上司としては本望に違いありません。「上司は使う」が鉄則です。

実は4年前にも同様の気づきがあって同様のブログ(上司を巻き込んで物事を動かす)を書いていましたので、こちらも読み返してみてください。


2015年8月6日木曜日

評価をあげるには評判をあげろ(2)

他部門の部長に自分の仕事を見て評価してもらうことはなかなかできないことです。ですから、評判をあげて自分の仕事ぶりを認識してもらうのです。評判については、以前「会社人生は評判で決まる」というブログを書きましたが、その中で評判の良い人、悪い人について以下のように説明しました。

評判の悪い人
  1. 自分の実力を誤認している、ある意味「自意識過剰なナルシスト」
  2. 自分はさておき他人のことをとやかく言う、いわゆる「評論家」
  3. 自分の立場を理解していない、勘違いの大きい「分不相応な人」
評判の良い人

  1. 自分自身をよく分かっており「他者への十分な配慮のできる人」
  2. 「評論家」の逆で、労をいとわない「実行力の人」
  3. 自分の立場や役割を正しく理解し「本質的な役割の果たせる人」
評判というのは、声の大きい誰かひとりの評価でも、ゴシップ的な噂でもありません。上へのゴマスリや意図的なアピールで伝わるものでもありません。自然と多方面から聞こえてくる、その人の仕事に対する取り組みや、小さな努力の積み重ねとその成果といったものが評判です。「他者への配慮」「実行力」「本質的な役割」を意識していれば、評判は自然とあがっていくでしょう。

私も正直皆さんひとりひとりの仕事の内容を理解して評価することはできませんから、この評判をとても大切にしています。上司だけでなく部下や同僚がどのように見ているか、また社内だけでなくお客様や協力会社の方が実際に一緒に仕事をしてどのように感じたか。そういう周りの声をできるだけ幅広く聞きながら、社員ひとりひとりの仕事ぶりを確認するようにしています。部門長を中心に行われる相対評価会議においても、他部門の上司が評価をする際にこの評判というのは少なからず影響するはずです。ですから、自分と上司だけの狭い世界だけで仕事をするのではなく、社内外の周囲の人にきちんと仕事ぶりを評価してもらい、評判があがるような仕事の仕方をしてほしいと思います。そうすれば、自然と納得のいかない評価がなされることは少なくなるでしょう。ちなみに現在の評価制度では、現場レベルでの評価を重視していますので、相対評価の結果に私をはじめとする取締役が口を出すことはほとんどありません。

この評価制度を導入する前は、何故私の評価は○○なのか、という疑問が出ることはなかったと思います。何故なら、自分の評価結果が明かされていないからです。以前の評価プロセスの目的は、査定によって賞与や昇給額を決めることに主眼が置かれていたため、自分に対して何が期待されていて、どのように評価されているのかを知ることがありませんでした。しかし、今の評価プロセスは、以前と同様に賞与や昇給を決めるという側面もありますが、それ以上に社員の育成につなげることを目的としています。今期どのように仕事に取り組むか、どのようなチャレンジをして成長していくかを自分自身で考える。そしてその達成度や仕事ぶりについて評価がされ、その内容をフィードバックをされることで、自分の何が評価につながったのか、逆に何が不足していたのかを知ることができます。これが成長の為の重要なプロセスなのです。ですから、自分の評価結果に納得がいかなければ、しっかりと上司からフィードバックを受けてください。そして、そのフィードバックをしっかりと受け止めて次につなげるように努力してください。また、部門長の人は、必ず評価のフィードバックに時間を割いて部下と向き合ってください。決して、「俺は評価してるんだけど、上が、、、」などの無責任なコメントをしないように。万が一、上位レベルによって評価が変わった時には、必ずそのフィードバックもなされていますから、その内容を確認するようにしてください。

良くない評価をつけることも、つけられることも気持ちのいいことではありません。できれば、全員に良い評価をつけて気持ちよく終わらせたい、評価者は皆そう思っているでしょう。でもそれでは成長はありません。「ギャップ」を認識することで人は成長します。ただし、ギャップ認識をさせるだけでなく、それをうめるための道筋を一緒に考えていくことが必ず必要だと思います。新しい評価制度に慣れるにはまだ時間がかかると思いますが、評価プロセスは人材育成の重要な役割を持っているということを考えながら、評価および評価結果に向き合ってください。

2015年8月4日火曜日

評価をあげるには評判をあげろ(1)

賞与の査定時期からだいぶ経ってしまいましたが、査定結果を戻された時に、「何故私の評価はCなの?」と思った人も少なくないのではないでしょうか? 人事制度改定の時に評価制度についても説明をしましたが、ここで再度制度の仕組みについておさらいをした上で、どうしたら評価があがるのか、私の立場から伝えられることを2回に分けて伝えておきたいと思います。

当社の評価制度は、まず上下半期の期初に半年間の目標設定をして、期末にその目標に対する達成度を自身で評価します。その上で上司と面談をもち、自己評価結果について合意形成を行います。つまり、自己評価の内容を上司に認めてもらう、もしくはダメ出しをされるという機会をもつわけです。その時点でその人の絶対評価(S,A,B,C,D)が決まります。その後、同じ職種かつ同じ等級の人どうしで絶対評価を比較して相対評価(同じくS,A,B,C,D)を決定します。

この時覚えておいてもらいたいのは、絶対評価のS,A,B,Cと相対評価のS,A,B,Cの意味は異なるということです。期初の目標設定は、その人の等級で求められている発揮能力や行動を上回るように設定するようになっています。つまり、自分にとってある程度チャレンジングな目標設定をするように決められています。そのチャレンジに成功して見事目標を達成した人がSもしくはA。チャレンジ項目は達成できなかったが、自分の持っているスキルレベルに見合う行動や成果を出すことができた人がB。自分が持っているスキルレベル以下の成果しか出なかった人がCもしくはDということになります。つまり、絶対評価というのは自分の等級で求められている発揮能力や行動と比較した評価といえます

一方で相対評価とは、全社員の中で達成度の高い順に分布を決めるもので、例えばSは5%、Aは15%、Bは65%、Cは15%といった具合に人数配分を行います。この分布率はその時によって異なりますのでこの数値はあくまで参考値としてください。つまり、絶対評価というのは、同じ職種、同じ等級の人同士で、その達成度を比較した評価ということになります。ですから、たとえ絶対評価がSだとしても、同職種/同等級の人の中で大多数の人の達成度が高ければ、結果的に相対評価が下がってしまうということもあり得るのです。

この相対評価は部長が集まって話し合いによって決まります。A部門のaさんと、B部門のbさんは、どちらも絶対評価がSだが、どちらかをS、どちらかをAにしなければならない。どちらの方が達成度が高いと言えるかという話し合いです。当然aさんの上司はaさんを推し、bさんの上司はbさんを推すことになりますが、両者で話し合って合意形成をするのです。この時に重要なのは、比較相手の上司に自分の仕事ぶりを認めてもらうということになります。つまり、相手の上司に、その部下より自分の方が上だと認めさせるのです。その際に、決めてとなる重要な要素のひとつが「評判」です。