2016年10月4日火曜日

やり抜く力

スポーツ、芸術、ビジネスなど、さまざまな分野で成功し、偉大な業績を残す人たちは、それ以外の人と何が違うのか。それは生まれつきの才能ではなく、「情熱」と「粘り強さ」からなる「やり抜く力」であると、この本に書かれています。
『やり抜く力』 -人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける(アンジェラ・ダックワース 著)
今日は「やり抜く力」について、本の内容と私の考えを交えて少し話をしたいと思います。




成功のためのキーワード「情熱」

『どの分野でも、もっとも成功している人びとは、幸運と才能に恵まれていた。
だが、成功の要因はそれだけではなかったのだ。
どんな分野であれ、大きな成功を収めた人たちには断固たる強い決意があり、
それがふたつの形となって表れていた。
第一に、このような模範となる人たちは、並外れて粘り強く、努力家だった。
第二に、自分がなにを求めているのかをよく理解していた。
決意だけでなく、方向性も定まっていたということだ。このように、みごとに結果を出した人たちの特徴は、「情熱」と「粘り強さ」をあわせ持っていることだった。つまり、「グリット」(やり抜く力)が強かったのだ。』

成功の要因は、幸運、才能、粘り強さ、努力家、ここまではすぐに頷けますが、「情熱」や「自分が何を求めているのかをよく理解していた」という部分については皆さんはどう解釈しますか?

「情熱」というと、一般的には「熱意」や「熱中」といった、感情の盛り上がりをイメージします。もちろん、感情の盛り上がりは、物事を推進する際の原動力としては重要ですが、ここでの「情熱」は、その「感情の盛り上がり」を冷静にコントロールする思考も含まれています。つまり、エネルギーとしての「感情の盛り上がり」を、どの方向に向けるのかということを的確にコントロールすることによって方向性を定める、すなわち「自分が何を求めているのかをよく理解している」ということにつながるわけです。


情熱をコントロールするための目標設定

それでは、どのように情熱をコントロールして方向性を定めるのか。それは、日々ひとつひとつの行動の意味を考えるということだと思います。この行動は何のためにやっているのかという質問を繰り返していくと、徐々により上位の目標につながっていき、本来自分が目指しているもの/ことが明らかになってくるはずです。ここにつながりがないと、情熱の方向性が定まらず、継続的な努力やモチベーションの維持が困難となり、結果として成功には至りません。

たとえば、スポーツ選手は日々様々なトレーニングを積んでいます。一流の選手は、それら個々のトレーニングの意味をよく理解しています。
腹筋トレーニング -> 体幹を鍛える -> 体に安定感をもたらす -> バランスのとれたジャンプができる -> 高得点につながる -> オリンピック金メダル
といった具合です。ですから、今キツイ思いをしながらやっているこの腹筋トレーニングは、最終的はオリンピックで金メダルをとるためにやっていると自分の中で結びつけているわけです。

仕事においても同様のことがいえます。今やっているこの作業は何にためなのか、それはどのような結果に結びつくのか、その結果が出ると会社にどのような影響をもたらすのかといったように、最終的に自分のキャリア志向や会社組織への影響などに結びつけることで、大きなエネルギーとなり、成果/成功へと自身を導くことができます。

つまり、目の前の目標、中段レベルの目標、最終目標と段階的に目標設定をして、必ず最終目標イメージを持つことが重要なのです。皆さんは会社組織の中で仕事をしていますから、最終目標を会社の全社目標、特に中期的な目標と結びつけてベクトルを合わせられるかどうかが、会社全体で力を発揮できるかどうかにかかっています。


「やり抜く力」を引き出す目標管理ツール

この本では、
『「やり抜く力」というのは、ひとつの重要な目標に向かって、長年の努力を続けることだ。
「やり抜く力」が非常に強い人の場合、中位と下位の目標のほとんどは、何らかの形で最上位の目標と関連している。
それとは逆に、各目標がバラバラで関連性が低い場合は、「やり抜く力」が弱いと言える。』
とあります。

これが、幸運、才能、粘り強さ、努力家、といった一般的な要素以上に重要な成功要因なのでしょう。

当社では目標管理という評価管理手法を使っています。これは、単なる評価査定ツールではなく、会社全体の目標から部門目標、個人目標、個人の日々の行動へと結び付けることができるためのツールであり、自分自身の情熱の方向性を定めるためのツールでもあります。

まだ導入から浅く、完全に機能しているわけではないのが現状かと思いますが、改めてこのツールを浸透させていくことで、皆さんの「やり抜く力」を引き出していきたいと思っています。


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