2012年2月9日木曜日

人事制度改定③

今回は評価制度について説明します。今回の制度改定において、私が最も注力し大きくその位置付けを変えたいと思ったのが評価制度です。従来より、当社では年に2回の賞与査定、年に1回の職能査定を実施してきました。賞与査定は文字通り賞与を決定するもの、職能査定は昇給を決定するものですが、その評価項目は公表されておらず、また評価結果も本人にフィードバックされることもありません。本人が知ることができるのは、評価の結果としての賞与および昇給の額にとどまります。賞与原資はその期の会社の業績に左右されますから、必ずしも評価が高いから絶対的な賞与の支給額が高いとは限りません。そのため、支給額だけを見ても、それが評価が高かった結果なのか、それとも評価が低かった結果なのかを捉えることはできません。高い、低いという感覚は、あくまで自分の期待値や前回の支給額との比較でしか判断できず、それが社員のモチベーションに大きく影響します。そのため、せっかく高く評価されていても、自分の感覚とのズレによって、自分の働きが評価されていないと感じ、モチベーションを下げてしまう、ということが起こりかねません。


私は評価というものは、単に賞与や昇給を決めるための方程式として位置付けるのではなく、コミュニケーションツールとして機能させる必要があるのではないかと思っています。評価というプロセスを通じて、上司と部下のコミュニケーションの促進を図ったり、育成の機会を創ったり、成長の意欲を引き出すこともできます。そのためには、自分が何で評価されているのか、またどう評価されたのかを明らかにする必要があります。どうしたら高く評価されるかが明らかでなければ、どこに向かって行ったらいいのか分かりません。例えば、右に向かって走ることで高く評価されるとします。しかし、そのことが公表されていなければ、一生懸命左に向かって走ってしまう人も出てきてしまいます。「右に向かって走れば高く評価される」と公表されていれば、誰でも右に走っていきますよね?つまり評価項目が、評価する側とされる側、双方に理解され合意されている必要があるわけです。また、評価の結果を正しくフィードバックすることによって、何故自分の評価が低かったのか、何を努力すれば次回の評価が上がるのかを指導し理解させることができます。自分に不足していることに気づきを与え、成長の意欲を持つことにもつながります。こうした一連の上司と部下(評価者と被評価者)のコミュニケーションを評価プロセスに持たせ、社員の方向性をひとつにしたり、人材育成に活用していくことが、新しい評価制度の重要なポイントです。次回は具体的な評価の方法について説明します。

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