2014年12月2日火曜日

やらせた仕事の出来が悪い理由

私が尊敬する経営者の方のメルマガに非常に共感できる内容がありましたので、今回はそれをもとに部下やチームメンバーへの仕事の指示について話をしたいと思います。

皆さんにも部下やチームメンバーに仕事の依頼をしたけれど、その仕事の出来が悪くて腹立たしく思ったり叱ったりした経験があると思います。そうなる理由は次のいずれかでしょう。「依頼者の成果イメージや意図が伝わっていない」「担当者の能力不足」「担当者がサボっている」私の経験からもそうなのですが、だいたい「伝わっていない」が50%、能力不足が40%、サボっているが10%だと思います。忙しくて時間がない状況下で出来の悪い成果物を見せられると、愕然として思わず感情的に叱ってしまったり、自分がやってしまった方が早いということで仕事を取り上げてしまったりしがちです。しかし、叱りとばすことが有効であるのは「サボっている」時であり、それ以外で叱ってばかりいると、部下は叱られるのを恐れて、自分で考えることを止め、上司の顔色を見ながら仕事をするようになってしまいます。また、仕事を取り上げればその時点で部下の手を離れますから反省をすることも思考することもなく、能力アップにはつながりません。結果的にその上司は部下を育てることができず、いつまでたっても自分ひとりで死にそうになりながら仕事をこなしていくことになります。

「依頼者の成果イメージや意図が伝わっていない」理由の多くは依頼者が仕事の内容や目的などを丁寧に伝えていないことにあります。自分自身で仕事をこなすことができる人は、自分の頭の中に成果イメージをもっていますし、その成果物を作り上げるためのプロセスも分かっています。しかし、初めてその仕事に取り組む部下にはそのイメージはありませんから、依頼者とは異なるイメージをえがいてしまう可能性が高く、このイメージのギャップが「仕事の出来が悪い」という結果を招きます。依頼者が忙しいと、言わなくても分かってるよね?とばかりに丁寧な説明を省きがちです。しかし、出来上がったものの出来が悪いと自分が徹夜をして作り直すことになり、更に忙しくなってしまうという、実にばかばかしい結果になります。仕事の指示が資料の作り方など、その仕事のやり方やプロセスの説明を重視しがちですが、最も重要なのはその仕事の目的や意図を伝えることであって、忙しければ忙しいほど、何のためにその資料を作成するのか、何のためにその仕事をするのかを伝えることを忘れてはいけません。人は、何のためにやっているのか分からない仕事を嫌いますから、部下にモチベーションをもって仕事に取り組んでもらうためにも、作業を依頼するのではなく、仕事を依頼するように心がけてください。

私は以前、自分が担当する製品の雑誌広告を作成する仕事をしたことがあります。広告代理店の方にその製品の特徴やウリを説明して、A4の紙1枚の広告に仕上げてもらうのですが、出来上がった広告のビジュアルやキャッチコピーを見て愕然としました。こちらとしては1時間を超えるブリーフィングを通じて製品について伝えきったつもりでいたのですが、アピールするポイントが全く伝わっていなかったのです。周囲にも同様の経験を通じて代理店の質の悪さを批判していましたが、私がその時に考えさせられたのは、何故彼らがそのように理解してしまったのかということでした。私の頭の中にはその製品の特徴や素晴らしさが詰まっていますし、常にその製品のことを考えて仕事をしています。しかし代理店の方は私の話によってその製品のことを初めて知り、予備知識がない真っ白な状態で話を聞いたわけですから、その人に対して私の頭の中にある知識と同様のレベルを前提に話をしても、正確に伝わるはずがありません。知識があるからといって色々な情報を一気に伝えるのではなく、前提となる予備知識を説明したうえで、本当に必要な情報のポイントを整理して伝える必要があったと反省した記憶があります。

自分の頭の中にあるイメージを伝えるのは非常に難しいことですし、相手の前提知識や理解力によって受け止め方が大きく異なるため、伝え方を変えていく必要があります。忙しい時ほど、この辺りのケアを怠りがちですが、最終的には多くの部下を育て、自分と同じレベルの仕事をこなしてもらうためには、初めに時間を割いて丁寧に説明することが必要です。それが結果的に自分を楽にしますし、仕事の幅や許容量を広げていくことにつながるのだと思います。




2014年10月31日金曜日

守備堅め

 昨年から受注が順調に伸びてきており、今年度は6年ぶりの完成高100億を達成することができそうです。"ONE for 10 Billion"100億体制への復帰を掲げて3年間、売上は90億台にとどまり、100の壁を乗り越えるのに苦労してきましたが、皆さんの努力と戦略的かつ積極的な攻めの営業活動の成果といえるでしょう。ただ、昨今低迷していた設備投資は回復基調にある中で、市場の追い風にのって受注額を伸ばすことは、それほど難しいことではありません。受注したプロジェクトを予算どおり、もしくは予算以上の利益を残して終わらせ、会社の業績を伸ばしていくことができるかどうかで、はじめて会社に力がついたと評価されます。そのためには、攻めるだけではなく、堅実な守りを行う必要があるのです。

スポーツの世界にも必ず攻めと守りがあります。4番打者だけでも、センターフォワードだけでもチームとしては成り立ちません。チームには色々な役割が存在し、攻めを得意として果敢に得点を取りにいく人もいれば、相手の攻めをブロックして失点を防ぐ人もいます。その攻めと守りの双方がうまく機能することで組織力が発揮され、本当に強いチームとして勝利を手にすることができます。

私たちも常に様々なリスクに囲まれており、これらを回避していかなければ成功を手にすることはできません。脇目も振らずに前に突き進んでいくだけでなく、どこにリスクが存在するか様々な注意を払いながら進み、万が一のことが起きた時もできる限り最小限のインパクトに抑えなければなりません。しかし、当社ではリスクを個々の社員の力で回避しているのが現状です。皆さんは知らず知らずのうちにリスクを回避しようと必死に動いているわけですが、個人の力には限界がありますから、稀に守りきれずに危機にさらされてしまうことがあります。そうならないように、会社の仕組みとして守備力をバックアップしていくことが必要だと考えています。

私たちのビジネスには、法的リスク、災害/事故リスク、品質リスク、契約リスクなどのリスクが存在します。法的リスクにはコンプライアンスに対する取り組みを、災害/事故および品質リスクには安全活動やパトロール、施工手順書などの活用を、契約リスクには適切な業務プロセスと承認プロセスの確立など、会社としての仕組みづくりが重要になります。こうした仕組みの強化による守備堅めが下半期以降の注力ポイントだと考えています。これからは、個人の力に依存するのではなく、会社の仕組みでリスクを回避するための守備力を向上し、攻守ともに優れた会社に成長していきましょう。


2014年10月6日月曜日

技術サービスを売る

最近お客様との会話の中で、当社の設計サービスに対して高い評価をいただいていると感じる機会が多くあります。当社に高い設計能力があるから工事を発注するのだという言葉をいただくこともあります。これは競合他社との差別化になるような強力なアドバンテージだと思います。しかし、従来より当社の設計サービスは、工事を受注するためのツールと位置付けられることが多く、そのサービス自体の価値があまり評価されずにきたように思います。設計を安価で提供することで工事受注に結びつけ、工事予算の中で設計原価をまかなうという営業スタイルです。しかし、お客様の目が厳しくなり、少しでも安価で工事を行いたいというお客様が増えると、設計と工事を分離してそれぞれ最安値の業者に発注したり、多少の品質よりは安価を求めるあまり工事予算が削減され、設計原価をカバーしきれないといったことがしばしば起きてきます。これでは従来の営業手法は通用しなくなってしまいます。品質にこだわらなければ安価で工事を行う業者は溢れていますが、高品質な設計ができる業者は限られており、そこにお客様のニーズがあり当社の価値があるわけです。

また、製造業における団塊世代の引退に伴う技術力の低下も顕著になってきています。ここでいう技術力とは、製品開発を行うための技術力、製造設備を設計するための技術力、生産ラインを維持保全するための技術力など様々なのですが、こうした経験や技術をもった技術者が引退してしまうことによって、社内の人材だけでは全てをまかないきれなくなり、業務の一部を社外人材に頼らざるを得なくなってきています。そこで、製造設備のエンジニアリング支援や、維持保全計画の立案支援などの領域で当社が力を発揮できるところがあるのではないかと考えています。事実、一部のお客様に対してこうしたサービス提供を始めており、いまのところ一定の評価をいただいている状況です。今後本格的な事業展開を行うためには、技術者の体制や適切な価格設定など課題はありますが、市場ニーズや方向性としては概ね間違ってはいないという認識を持っています。

当社は施工会社ですから、設計やエンジニアリングをしたものを施工して、最終的には形にして納めるというというところからブレるつもりは一切ありません。しかし、冒頭にも書いたようにそれだけでは価値が薄れてきたり、場合によっては市場ニーズから外れる時があります。ですから、「施工」という柱の周辺にどのように付加価値をつけていくかということを考えると、設計/エンジニアリングといった技術サービスをひとつの付加価値として、また差別化要素として確立していきたいと思います。当社の技術部門の社員の皆さんにも、自分たちの提供しているサービスが市場においてどの程度の価値があるのかということをしっかりと認識していただきたいと思います。そしてその付加価値が、当社の施工会社としての価値をより一層高めていくのだということを理解してください。

2014年8月27日水曜日

ソリューションは身近にある

私が「設備のソリューションカンパニー」になるというビジョンを掲げて5年くらいがたちました。初めはカタカナで何のことだか分からないという人も多かったと思いますが、少しずつ皆さんの口からソリューションという言葉が出るようになってきたように思います。(半ば馬鹿にしたように口にする人もいますが、口に出るようになるということは理解、定着への第一歩だと思っていますからこれも前進です。)しかし、先日ある社員と話をしたところ、少しこの言葉を難しく捉えすぎているのではないかと思いましたので、今日は改めてこのソリューションについて話をしたいと思います。

従来建設業界では、お客様が望むモノを造るということに価値があり、それだけで十分評価してもらえました。しかし、業界全体の技術レベルがあがり、お客様の望むモノを造ることができる会社が増えてくると、そこにプラスαの付加価値が求められるようになりました。それは必ずしも高度な技術力を必要とすることだけではありません。お客様の要望を汲み取って迅速な対応をとったり、お客様が気づいていない課題を認識して自分の経験に基づいてちょっとした提案をするなど、お客様の考えや目的を理解して、どこまでその意に沿った対応ををとることができるか。これがプラスαの価値でありソリューションです。私たちの仕事はモノを造ることではありません。ものづくりを通してお客様の目的達成のお手伝いをすることにあるということを忘れないでください。だからこそ常にものづくりの先にあるゴールを見据えて、お客様にとって何がプラスαの価値になるかを考えながら動く必要があるのです。

先日の新卒の採用面接で、学生から「当社において仕事で成功している人はどのような人ですか」という質問を何度か受けました。私は、仕事を先読みして動ける人、仕事にプラスαを付け加えられる人と回答しています。何かひとつの仕事を頼まれたときに、次にこのようなことを頼まれるであろう、これもやっておけば役に立つであろうということを考えて仕事に取り組むことができる人です。頼まれたことだけをこなすだけでは60点(普通)。そこにどれだけのプラスαを付け加えられるかがその人の価値につながるわけで、これがソリューションという考え方なのですという話をします。自分自身がサービスを受ける立場だったとして、直接お願いしていないにもかかわらず先読みしてサービスしてくれれば、「おっ、この人できるな」と感じますよね?まさにそれです。

当社技術部のソリューショングループは、自身の技術力を磨いて省エネ提案やエンジニアリングをしていますが、これはソリューションの一例であって、これだけをとってソリューションといっているのではありません。ソリューションとは考え方や仕事に対するスタンスであり、誰でも様々なかたちで提供することができることなのです。意識を変えれば普段の仕事の中にソリューションの種はたくさん見つかります。お客様に対する洞察力と皆さんの長年の経験をもってすれば、必ずお客様に評価されるプラスαを提供できるはずです。この積み重ねが皆さんひとりひとり、そして会社の価値を飛躍的に高めてくれます。早速今日、ひとつのソリューションを見つけてみてください。


2014年8月6日水曜日

社風は財産

今回は採用活動を通じて感じたことをもうひとつ。私は学生との最終面接で、他社と比べた時の当社の魅力と劣っていると感じる点をそれぞれ必ず聞くようにしています。その際、ほぼ全員が当社の「アットホームな雰囲気」を魅力としてあげます。(面接ですからなかなか劣っている点については、はぐらかされて話してもらえません)最終面接までには、会社説明会、一次面接と社内の雰囲気を感じることができる機会は限られていますが、彼らはその機会を通じて確実に何かを感じ取っているようです。

どのような場面でそう感じたのか尋ねると、とても興味深い答えが返ってきます。一次面接は若手社員に対応してもらっています。聞いて欲しい設問や、評価のポイントなど面接をするにあたっての簡単なガイドラインは提示しますが、それ以上の指導はとくにせずに実際のやり方は面接官に任せています。しかし、誰が面接をしても、「話しやすく緊張をほぐしてくれる」「うまく喋れなくても自分の長所を探し出そうとしてくれる」といった温かい印象を受けるそうです。他社ではどうなのかを尋ねると、アラを探して落とそうとしていると感じたり、上から目線で話をされ萎縮してしまったりするそうです。私の面接も、終始部活やバイトなどの話をしてもらい、リラックスして自分の経験を自分の言葉で語ってもらうようにしていますから、基本的な面接スタイルは同じですよね。面接についての打ち合わせをしているわけでもないのに(本来はしっかりと打ち合わせをしなければいけないのかもしれませんが…)同じスタイルで面接をし、同じ印象を与えられているということを聞いて、これが社風なんだなと感じました。

また、会社説明会の後にぐるっと本社事務所内を見学してもらうのですが、この時にも仕事をしている時の雰囲気の良さを肌で感じるそうです。ある人は、面接が終わって帰る際にエレベーターで一緒になった社員が気さくに話しかけてきて、当社の仕事の魅力を語ったそうです。そういったエピソードを面接で聞くたびに、これが一番の旭の魅力だなと非常に嬉しく思います。表面的に感じよく振舞って良い印象を与えようとしてもすぐに見破られてしまいます。かれらは当社の魅力を肌で感じ取り、徐々に入社への期待を高めてくれています。

皆さんが学生時代に当社への入社を決めた時、当社への強い憧れや高い期待はありましたか?私が言うのもなんですが、あまりありませんでしたよね?当社は学生に知名度があるわけではありませんから、入社したのはちょっとしたきっかけだったと思います。しかし、そのきっかけによって入社した社員が現在200名いて、その9割がプロパーですから、結果的に多くの社員が長期間勤めている会社ということになります。当社の社風も、勤続年数が長いことの理由のひとつなのではないでしょうか。社風というものは1年や2年でできるものではありません。当社の70年近い歴史の中で、徐々にできあがった財産です。私はこの大切な財産をこの先も守り続けていきたいと思います。

2014年7月17日木曜日

ダイヤの原石を求めて

採用は現在の当社の重要経営課題のひとつです。これから売上高を伸ばして会社が成長していくためには体制の強化が必要です。こらから3年かけて、新卒/中途合わせて約40名を目標に採用を行っていきます。先日社員紹介制度についてアナウンスしました。また新卒採用にあたり、学校訪問や学生との座談会などの参加をお願いしている人もいると思います。新たな仲間を当社に迎え入れるために、是非皆さんの協力をお願いします。

現在は来年4月入社の新卒採用が大詰めとなっています。今年は大企業が積極的に採用に乗り出していて、高専に関してはひとりの学生に20件を超える求人があるというから驚きです。当社はかなり苦戦しましたが、本日時点でなんとか10名に内定を出すことができました。しかし、先日の日経新聞にもありましたが、学生の多くは複数の内定をもっているため、内定辞退率は平均40%にもなるとのこと。当社の内定者はなんもしても手放したくないですから、今後も定期的にコミュニケーションの機会をもって、彼らに当社の魅力を感じてもらいたいと思います。

さて、採用をしていて感じたことがふたつあります。今回はそのうちのひとつをお伝えしたいと思います。来年から企業が採用活動を開始できるのは8月1日以降となりだいぶ遅くなります。これは、学生にとっては短期間のうちに集中的に活動をして就職先を決めなければいけないということになります。企業も短期間で大量の学生の中から、優秀な人材を選別しようとしますから、学歴重視が進むのではという声があります。面接をせずにプロフィールだけでスクリーニングしようとした時に、もっとも効率的かつ確度が高い選考要素が学歴であるということなのでしょう。

それでは何故学歴が高いほうが、良い人材となるのでしょう?それは、偏差値の高い学校を出たということから地頭の良さを評価しているということもありますが、もうひとつ、ある特定の期間に受験勉強というものに打ち込んで、その結果偏差値の高い学校への入学という結果を得たという一連のプロセスを評価しているのだと思います。学生時代に何かに真剣に打ち込み、そこで経験したことは今後の人生において自分の強みや自信につながったり、判断の拠り所になったりするものです。企業が学生を採用する時に、この自分自身を形成する核となるものを持っているかどうか、これを見ることが重要だと思います。これを手っ取り早く判断する指標が学歴ということになります。

打ち込むことは勉強である必要はないと思っています。スポーツでも、アルバイトでも、遊びでも、趣味でもなんでもいいのです。自信をもってこの事に時間を費やし、その過程で泣き、笑い、怒り、感動した、そういう経験をしているかどうかです。高校時代にスポーツに打ち込みすぎて勉強をする暇がなく偏差値の高い学校に入れなかった。バックパッカーで世界中を旅してばかりいたら単位がとれずに留年してしまった。いいじゃないですか、最高ですよ!こんなことが履歴書に書いてあれば、面接が楽しみで仕方ありません。私の面接はとにかく徹底的にそれを聞き出します。自己PR?志望動機?そんな作られたストーリーには興味ありません。自分が真剣に打ち込んだことであれば、事前に考えてこなくてもいくらでも語れるはずです。聞かれていないことでも話したくなるでしょう。その経験談を聞けば、その人の長所短所、性格などが自然に見えてくるものです。

この一月は多くの学生と面接をしました。そして多くの経験談を聞きました。初めは緊張して、覚えてきたPRをたどたどしく吐き出していた人が、段々リラックスして目を輝かせながら自分の経験を語りだすのを見ていると、こちらもとても楽しくなり、あっという間に1時間くらい過ぎてしまいます。当社は無名な中小企業ですから、来年も学歴でスクリーニングをかける必要はありません。面接でダイヤの原石を発掘して、当社でキラキラ光る宝石にしたい、そんな気持ちでこれからも学生と会っていきたいと思います。

2014年6月24日火曜日

Most Shining Player 2013

2013年度上半期/下半期それぞれの表彰者の中から、最も輝いていた人、最も業績に貢献してくれた人たちにM.S.P(Most Shining Player)という賞を贈りその功績をたたえるとともに、副賞として海外研修旅行に招待しました。初年度の今回は、5名の受賞者を3泊4日のジャカルタ研修旅行に招待して、インドネシアの経済成長、市場の可能性、当社現地法人(Asahi Synchrotech Indonesia: ASINDO)のメンバーの活躍ぶりを肌で感じてもらうとともに、ゴルフやショッピング、ナイトライフなどを通じて、日ごろの疲れを癒してもらいました。普段なかなかまとまった休暇をとることができないメンバーばかりですから、短い期間ですが仕事から離れリフレッシュできたのではないでしょうか。参加者の中には、初めてパスポートをとったという人もいて、期待と緊張が高まる中ツアーを迎えたようですが、初めての海外、初めてのインドネシア、実際に当地に降り立ってみると、頭の中でのイメージとのギャップに驚いた人も多かったと思います。

研修旅行ということで、1日は現地の施工現場の訪問と、ASINDOの事業説明プレゼンを聞いてもらいました。ASINDOは創立23年目、日本人3名、フィリピン人3名、インドネシア人約50名の体制で、昨年度の売上は、創立後初の10億(円)超えを果たすことができました。しかし、日本ではその事業内容や業績、仕事ぶりなどはあまり知られていないため、この機会に現場や事務所訪問を通じてその実態を知ってもらうとともに、現地メンバーとの懇親を図ってもらうことにしました。主要メンバーをディナーに招待して懇親の場を設けようと思いましたが、実際にはほぼ全ての社員が参加して(中には4~5時間かけて現場からかけつけてくれた人もいました)、総勢70名近い盛大なパーティとなりました。


今回、日ごろの皆さんの努力、貢献に何か普段と違った形で報いたいという思いから、M.S.P並びに海外ツアーを初めて実施しました。初めてのことですから、受賞者も何のことだか分からず、ただ言われるがままに参加したところがあるかもしれません。私も受賞者の皆さんがどのように感じるか、こちらの思いが伝わるか色々と心配でした。しかし、終わってみれば参加者それぞれに様々な印象を受け、自身の人生における貴重な経験ができたのではないかなと思っています。また、今年度も全社目標を達成して、来年M.S.P2014を実施できるように頑張りましょう!

2014年6月11日水曜日

成功は協力会とともに

昨日は当社の協力会の定時総会および安全大会でした。従来の協力会の活動は関東が中心でしたが、一昨年より地方支部を発足し各地域での活動も開始しました。これにより、旭シンクロテック協力会は総勢120社を超える非常に大きな組織となりました。当社の仕事は半分が関東ですが、もう半分は全国各地で行っています。私は、当社の仕事をしたいただく協力会社には、当社の事業や戦略、社員、安全基準、施工品質などをよく理解してもらいたいと思っています。そのためには協力会に入っていただき、普段から様々なコミュニケーションを図っていく必要があります。昨日の総会でも、昨年度の業績、今年度の注目案件、今後の事業戦略などについて約1時間にわたってプレゼンテーションをしました。また、「当社は協力会に加入していない会社とは取引をしない」と約束もしました。これは、「協力会に入っていれば仕事をまわす」という意味ではありません。協力会を通じて、当社と協力会社、さらには協力会社どうしのコミュニケーションを深め、お互いに切磋琢磨し、同じゴールへ向かって、ともに成功することを意味しています。この考えをよく理解して、皆さんがもし新規取引先と取引をする場合には、その仕事ぶりを確認したうえで速やかに協力会への加入を促すようにお願いします。

建設業において協力会という組織は一般的ですが、おそらくその大半は形骸化しているのではないかと思います。協力会に加入しているかどうかにかかわらず、価格が安い業者に発注するという傾向にある中で、上記のようなメッセージとともに協力会を拡大していく動きは珍しいでしょう。しかし、当社が価格だけで取引先を決めるお客様と長く深いお付き合いができないのと同じで、当社と協力会社が強固な信頼関係を築くには、相互理解、相互発展、そしてwin-win-winの精神で成功を共有することが必要なのです。そのためには、協力会という組織/活動を通じて両者がひとつになって活動をしていく必要があります。

当社の主要なお客様は、よく当社をパートナーとして見てくださっています。安値だけで選ぶのではなく当社の価値を理解したうえで、共存共栄の考え方で取引をしてもらっています。しかし、これに甘えることなく、常にお客様が求める価格と価値を、協力会社と一体になって提供できるように努力していく必要があります。昨日の私のプレゼンテーションの中でも、「低価格の実現」についての協力を求めました。単に値下げをしてくれという意味ではなく、どうやったらお客様が求めているコストパフォーマンスを実現できるか、一緒に考えてくださいというメッセージです。お客様が安値を求めているから、当社や協力会社が利益を削ったのではwin-win-winになりません。かといって、お客様が求めている価格が実現できなくても見放されてしまいます。お客様が満足する価格と価値を提供した上で、当社も協力会社も成功しなければいけないのです。簡単なことではありませんが、これが実現できなければ永遠に成功はありません。協力会社とともに知恵を絞り、意見をぶつけ合い、ともに成功していきましょう。

2014年5月29日木曜日

見た目もいい会社

以前、「人は見た目が9割」という本がミリオンセラーになりました。人間が伝達する情報の中で話す言葉の内容そのものが占める比率は7%ほどで、それ以外は見かけや、声のトーン、さらにはまばたきの数に至るまでの、非言語コミュニケーションで成り立っている。それだけ、見た目などの第一印象は重要なのだ、という内容です。個人的には、タイトルから期待したほどの内容ではないので、特にこの本自体はオススメしませんが、見た目の印象や非言語コミュニケーションの重要性には共感します。

見た目や第一印象で判断されるのは心外だ。大切なのは仕事なんだから、仕事の本質を見て欲しいと言うかもしれません。確かにその通りですが、見た目の印象の悪さでわざわざハードルを上げる必要はありませんし、最低限の社会人としてのマナーとして気を遣うべきところは遣うべきでしょう。最近はこのような身だしなみについてうるさく言う人も少ないでしょうから、以下私が気になることを何点か書きます。

(身だしなみ)
新入社員の頃は緊張感から身だしなみに気をつけていた人も、数年後には慣れなのか、社会人デビューしてしまうのか、髪の長さや色に変化が現れる人もいます。細かいことを列挙するつもりはありませんが、髪型、ヒゲ、服装などの身だしなみは清潔感があるようにしてください。くれぐれも、泥や油まみれの作業着を着続けたり、よれよれのスーツを着て客先に向かうことのないようにしてください。また、前日のアルコールが残ってしまっている人の口臭対策も忘れずに!

(整理整頓)
事務所、現場、車内は常に整理整頓してください。仕事環境の乱れは、作業や心の乱れ、結果的に仕事のミスにもつながります。私は色々な人の車に乗せてもらう機会が多いですが、車内がきれいな人は、事務所のデスクも、現場の作業場もきれいに整理されています。また、整理整頓ができている人は、余裕をもって効率的に仕事に取り組んでいて、結果的にミスや事故も少ないように感じます。作業環境をきれいに整えて、気持ちよく仕事ができるようにしましょう。

(あいさつ)
顔を合わせた時、社外の人が訪ねて来た時、帰る時、きちんと目を見て挨拶をしてください。特に本社では見知らぬ人が事務所に訪ねて来ることがあるでしょう。それが、お客様であるか、取引先であるか、清掃の人であるかにかかわらず挨拶をしましょう。現場においても、お客様、職人さん、宅急便、弁当配達、社内関係者どのような方であっても来訪者には声をかけましょう。たまに、気づいていながら忙しそうにPCに向かって作業をし続け、顔も上げない人がいますが、そういう態度はとても印象が悪いです。一瞬でも手を止めて、目を見て挨拶をお願いします。

当たり前のつまらないことをくどくど書きましたが、この見た目の印象でその人の仕事の能力や会社の評価などが変わってしまうこともあります。本質ではなくても、それが現実ですから気をつけてください。「見た目」はなかなか自分では気づかないものです。上司、同僚、気づいた人が一言注意し合うことで徐々に変わってきます。まずは、6月の1ヶ月間全社で意識して取り組んで、見た目もいい会社になりましょう!

2014年5月16日金曜日

キャリアプラン -社会人人生の設計

みなさんは、自分の5年後、10年後の姿をイメージしながら日々の仕事に取り組んでいますか?就職活動の時に、自分の将来像と照らし合わせながら就職先を検討したり、自分の強みや弱みを分析しながら企業に自己アピールをしたりしたことはあるでしょう。しかし、一度就職してしまうと、忙しい日々に追われてしまい、将来像や目標を見失ったり、中長期的な社会人としての人生設計ができずに時が経ってしまっているというのが現実かもしれません。

私の考える理想的な会社は、社員が継続的に成長しやりがいを持って働くことができる会社です。「仕事のやりがい」というのは人それぞれではありますが、仕事を通じて自分自身が成長していることを実感できることは、仕事のやりがいのひとつだと思います。個人の成長が成果に結びつき、その成果が社内外から評価された時には、それまでの苦労が吹き飛ぶような喜びにつながります。こうしたやりがいは、待っていて得られるものでも、会社から与えられるものでもありません。自分自身が苦労しながら成長して掴み取るものです。仕事にやりがいを感じられない人の多くは、「会社は○○してくれない」「上司は○○してくれない」「あの部門は○○してくれない」の「くれない族」になっていることがあります。「くれない」から「できない」というのではなく、「できる」ようになるために何を「する」のかを考えるという思考を持つようにしましょう。この考えが自分自身を成長させ、必ずやりがいにつながるはずです。

自身の成長のためにキャリアプランを立ててみましょう。これが、冒頭に書いた、自分の5年後、10年後の姿をイメージしながら社会人人生の設計をするということです。自分の将来像のイメージを現実のものにするために、今の自分に欠けているものは何か、どのような経験を積み、何を習得する必要があるのか。この理解があって初めて成長することができるのだと思います。皆さんには、目標管理という評価制度の中で半期ごとの目標設定と自己評価をお願いしています。これは限られた短期的な期間の中での目標設定とその振り返りになるわけですが、キャリアプランは残された社会人人生という中長期的な期間の中での目標設定と、その進捗管理といえるでしょう。もちろん途中で目標が変わることもありますし、なかなか進捗しないこともあるかもしれませんが、常にこの計画を持ちながら仕事をするということが大切です。

人間は変化を嫌いますから、慣れてきた仕事をできるだけ継続していたいという考えをどこかで持ってしまいます。もちろんある程度の経験があって初めて高いパフォーマンスが発揮されることは間違いありませんが、同じことを長いこと継続していては成長が止まってしまいます。ですから、キャリアプランを立ててステップアップすることが必要なのです。ひとつの仕事やポジションでの経験が豊かになってきたら、そろそろ次のステップに移ろうという意識を持つことで、継続的な成長が可能になります。筋力トレーニングでも、10回のベンチプレスをして、もうダメだと思ってからの2回が筋力アップにつながるといいます。仕事においてもこなせる範囲で仕事をしていても成長はありません。環境や役割などを変えながら自分にできないことに挑戦するから伸びていくのだと思います。

キャリアプランは会社側でも描いています。個々の社員に期待する将来像とそのために必要な経験を常に検討しながら人員配置を決めています。重要なことは、自身で描いているキャリアプランと会社が描くキャリアプランをすりあわせながら、社員の成長を促すことだと思います。今年度から自分のキャリアプランを記述して提出してもらうようにしました。頭の中でなんとなく思い描いていることでも、いざ文章にしてみると意外と難しかったのではないでしょうか。ただ、個々のキャリアプランをこのようなかたちで表明してもらうことで、会社側もそのキャリアプランの実現や成長を支援することができますし、社会人人生についての色々な意見交換も可能になると考えています。是非みなさんが思い描いている人生設計をありのままに表現してみてください。

2014年4月23日水曜日

経済成長の中で

先週から1週間インドネシアに行って来ました。インドネシアは雨季から乾季へ変わる時期、朝は多少爽やかですが、日中晴れれば灼熱地獄、午後には激しいスコールが降り、それがやめば蒸し暑さがさらに増すといった毎日でした。週末にお客様とゴルフをしましたが、まだ暑さに慣れていないため、最後の3ホールくらいはもうろうとして倒れそうになりました。

今回はまずインドネシア第二の都市、スラバヤに入りました。ここでは、昨年あたりから当社現地案件の中心となっている飲料業界のプロジェクトが4件あります。現在のインドネシア国内では飲料を含む食品業界が急成長しており、地元の人々の食生活のレベルが上がってきていることを感じます。当社では5年ほど前からフランスのダノン社からミネラルウォーター工場の建設に携わってきており、ジャワ島に限らず毎年新工場の建設が行われてきました。将来的な建設、増設も数多く予定されており、お金を出して飲み水を買うという習慣が定着拡大してきていることが分かります。またその他のお客様からは、炭酸飲料やお茶などの清涼飲料水の製造工場やボトリング工場の建設工事も受注しており、食品業界の成長とともに当社の業界における経験とシェアが確実に増えつつあります。

私としては、同時に上下水道のインフラ整備も進めて欲しいと思うのですが、予定は色々と発表されるものの遅々として進む気配がなく、未だ水道の水は匂いも強く衛生的にも飲めるものではありません。それもあって、ダノンをはじめとする飲料水メーカーの市場の拡大にも繋がっているのでしょう。それはそれで、当社にとっては仕事が増えることになりますから良いことでもあるのですが、同時に日本の水処理メーカーや自治体、できれば日本政府にも日本の水処理技術の素晴らしさを売り込んでいただき、環境事業の展開にもつながればと思います。

昨年度からは食品業界の案件が中心となっていますが、その前までは自動車業界の仕事が5割を超えていました。いまは自動車関連はひと段落していますが、先日の日経新聞の記事にもあったように、今後日系自動車メーカー各社は中東などへの輸出も視野に入れ、東南アジアでの生産体制をさらに強化していくそうです。そうなるとまた自動車関連の案件も増えてくるでしょうから、めまぐるしく変わる市場の動きをしっかりと捉えたビジネス展開をしていきたいと思います。

ただ、ジャカルタの渋滞は本当にひどく、帰国日もホテルから空港までは2時間40分、飛行機の出発ギリギリに空港に着きました。これも、交通インフラが整っていないところに、一気に車やバイクが増えたことが原因となっています。生活レベルが上がることで、車を所有したり、食生活が向上している一方で、交通インフラや水インフラは全く整っていない、このちぐはぐさが急速に経済成長をとげている国なのかもしれません。

先日の全社会議で2013年度のM.S.P(Most Shining Player of the year)の発表をしました。昨年度、最も輝いて仕事をしてくれた人へ贈られる賞です。表彰された皆さんには6月に一部の役員とジャカルタへ研修旅行に行ってもらいます。短い期間ですが、一緒にインドネシアの経済成長を感じながら楽しみましょう!

2014年3月31日月曜日

68期のスタートにあたり

今日から新年度68期です。東京ではちょうど桜が満開となり、新入社員を迎えて新年度をスタートさせるのにふさわしい爽やかな日となりました。昨年度は新卒の採用はしませんでしたので2年ぶりに若さ溢れる戦力を迎え入れることができました。当社はプロパー社員が9割を占め、このプロパー社員が当社の文化や歴史を築き、繋いできました。このタスキリレーを永遠に続けるためにも、常にフレッシュな新卒を採用し続けることが必須だと考えています。本日より当社の一員となる4名の新入社員の皆さん、君たちが少しでも早く旭の中心人物として会社を動かし、輝かしい歴史を残すことができる人材となれるように応援しています。

まず、新年度の話をする前に昨年度について。まだ決算前ではありますが、昨年度はリーマンショック後長く続いた赤字から脱却し、正常な企業として社会復帰することができそうです。会社は利益をあげ、お客様、ビジネスパートナー、社員、そして社会に利益を還元し貢献できてこそ、その存在価値があるわけですから、長いリハビリ生活から抜け出し、自力で前に進むことができるようになれたことには大きな意義があります。設備投資が低迷する厳しい経済情勢、当社に対する厳しい風評といった逆風の中、体力と精神力の限界に近づきながらも、私をはじめとする経営陣の厳しい要求に応え、素晴らしい業績を創りあげてくれました。改めて皆さんの頑張りを称えるとともに感謝したいと思います。

さて、これからの数年間、経済情勢は徐々に風向きが変わり追い風に、また昨年度の当社の業績を踏まえ、当社を取り巻く関係者の風評は応援メッセージへと変わるはずです。こうした環境の変化を捉えて進路を成長軌道に乗せていくためには、リハビリ生活で身につけたことを当たり前のこととして継続するとともに、足腰を鍛えるための筋力トレーニングによって、会社も社員もパワーを取り戻す必要があります。昨年度は業績を取り戻しはしたものの、事業再生活動によって本業に集中することができなかったこともあり、様々な面でミスが目立ちました。今年度は基本に立ち返り、私たちの本来持っている力を発揮するためにも、改めて施工力、技術力を磨くことに注力していきたいと思います。同時に、同じエネルギーを費やした時に少しでも前に進めるように、同じ距離を進むのであれば少しでもエネルギーを節約できるように、効率的な事業体制を整えていきたいと思います。

これまで慣れないリハビリ生活に少し疲れた部分もあるかもしれません。これからは、力強く前に進むために、楽しく充実した生活を送るために、継続的な進化を遂げていきましょう。今年度もよろしくお願いします。

2014年2月27日木曜日

経験が頭をかたくする!?

今日はちょっとした息抜きも兼ねて。。。

先日こんな記事を見つけました。
そうとも言える!バツとも言えないテストの秀逸な珍回答
そうとも言える!バツとも言えないテストの秀逸な珍回答(第2弾)


うちの息子もそうですが、子供は本当に発想が豊かで、急に突拍子もないことを言い出したりもしますよね?初めは意味が分からず、何言ってるの?と思いますが、その思考回路が分かると吹き出すこともあります。上記の記事が、ウケを狙ったのか、真剣に回答しているのかは分かりませんが、いずれにせよ、この型にはまらない思考はある意味大事にしたいものです。

大人は子供に比べて経験が豊かですから、その経験を通じて世の中のルールや常識を身につけ、様々な事象に方程式をあてはめて解を出すことができます。そのため、問題が生じた際にも素早く解決することができますし、問題を事前に回避することもできます。仕事においても、過去の成功・失敗体験をすればするほど、「こうするとうまくいく」「このケースは失敗する」というシナリオが染み付いていきます。この経験から学ぶということは、座学の何倍もの習得効果があると思いますので、経験を共有するということは非常に重要です。私は会議の場等で、なぜ成功/失敗したのかということを深く聞くことようにしています。これはひとりひとりの経験を共有し疑似体験することで学ぶということを重視しているからです。こうした経験学習は、その経緯も含めたシナリオが方程式としてインプットされますので、同様の事象が生じたときに素早く対処することができ、成功を重ね、失敗を繰り返さないということにつながります。

しかし、世の中の事象は多様化していますし、変化は非常に短いサイクルで襲ってきますので、この方程式が通用しないということも多発してきます。この時に必要なのが、柔軟性や応用力であると思います。方程式だけに固執してしまえば、少し状況が変わったときに思考停止に陥るか、方程式を無理やり突き進めて失敗することになります。ですから、方程式は基礎知識として抑えたうえで、現在の状況に応じて方程式どおりに進めればよいのか、それとも他の策を講じたほうがよいのかを検討しながら進めていく必要があります。前提となる環境が異なれば、方程式も崩れるということを頭において、思考回路を柔軟にもつことが大事なのだと思います。

よく年配者は頭がかたいと言われます。これは経験を重ねることで、数多くの方程式が頭に入っていて、常に事象をその方程式にあてはめて考えようとするからでしょう。方程式を数多くもつとともに、常に第2、第3の式を同時に思考しながら、状況に合わせた判断が必要です。これは私がよく口にする「知的体育会系」の考え方に近いものがあります。知的体育会系とは、「考えながら動ける人」であり、めまぐるしく変化する環境に合わせて、方程式に柔軟性を持たせるということにつながると思います。柔軟性を忘れずに経験を重ねていきましょう。

2014年2月13日木曜日

コストパフォーマンスで選ばれる

先日あるお客様から非常に嬉しいコメントをいただきました。「旭の若手社員のスキルの高さに感心した。どのようにしたら優秀な若手社員が育つのか、実際に社員の育成をしているマネジメントの方と意見交換をしたい。」とのことでした。当社の若手社員が高く評価される機会は数多くあり、その度に謙遜はするものの、心の中では非常に誇りに感じています。当社のような中堅クラスの会社では、人員が潤沢に揃っているではありませんから、必然的に若いうちから数多くのことを経験する環境が与えられたり、1人の社員が幅広い業務をこなしていく必要があります。なかなか休むこともできず負担をかけることも多いですが、その一方でスキルの高い社員が早い段階で育つということにつながっているのかもしれません。当社では、確立された人材育成システムがあるわけではなく、基本的には現場でのOJTが教育の全てです。このOJTが偏りすぎないようにバランスをとりつつ技術やスキルの継承ができればいいなと感じています。

さて、このように数多くのお客様から当社の技術力が高く評価されているわけですが、同時に多くのお客様から「高い」というご批判もいただきます。良いものだから高くて当然という考え方もあるかもしれませんが、別に当社は銀座の高級クラブを目指しているわけではありませんから、適切なグレードのサービスを適切な金額で提供する必要があります。ここでいう適切とは、お客様が望むということになります。安かろう悪かろうでは話になりませんが、良いものだから高いが通らない場合もあります。特に昨今、高い仕様よりも低コストを望まれるお客様が増えてきました。従来であれば「当たり前」の仕様だったものが、最低限の仕様で、最低限の機能を果たせば、できる限りコストは下げて構築したいというニーズに変化してきています。私たちは、以前の「当たり前」の仕様を当たり前に設計することに長けています。お客様から言われなくとも、様々な要素や気遣いを見積もりや設計に落とし込み、創り上げることができます。これは素晴らしいスキルであり強みであるのですが、今必要なのは「当たり前」の仕様を見直すことかもしれません。

公共工事や一部の業界のお客様の中には、すでに仕様が決まっていてその仕様が最優先されるものもあります。しかし、限られた予算の中に、できるだけ必要な要素を盛り込みたいという、ある意味わがままなお客様がほとんどです。この場合最優先されるのは予算であり、その予算内に抑えるための仕様を決めていく必要があります。こうなると、従来の「当たり前」は当たり前ではなくなりますから、当たり前の仕様を当たり前に盛り込むことは返って逆効果になりかねません。ここで必要なのは、お客様が求める仕様の優先順位をつけながら、最適な仕様と最適なコストを提示することだと思います。つまりコストパフォーマンスのちょうどよいバランスを見出すことにあります。私たちはお客様が求めるであろう仕様と、そこにかかるコストを熟知していますから、どの要素を省けばどの程度のコストダウンにつながるかも分かっています。それをお客様とつめながら、限られた予算を最大限の有効活用する仕様を提示できることが、当社の価値につながるのではないでしょうか。時間に余裕があれば、いわゆる松竹梅の見積もりを作るなどもいいかもしれません。

「技術力も値段も高い旭」から「コストパフォーマンスの高い旭」と評価されるようにしていきましょう。

2014年1月19日日曜日

仕事の意味を知る

現場監督という仕事をしていると、仕事=工事=ものづくりという視点になってしまうことがあります。与えられた予算と工期の中で、図面に描かれた設備を職人とともに作り上げる。確かにこれが私たちの仕事ですし、これだけ考えていれば目先の仕事は成り立ちます。しかし、この視点だけで仕事をしていると、極端にいえばその仕事が単なる作業の繰り返しにもなりかねません。お客様は私たちの作業にお金を出しているのではありません。私たちが工事によって作り上げたその設備が生み出す価値に対して投資をしているのです。ですから、その設備がどのように機能して、その結果お客様はどのようなメリットが得られるのか。それを自分や当社の仕事の範囲だけでなく、お客様の投資の全体像を理解して仕事にのぞんでみてください。

私は正直、工事そのものの技術的な詳細についての見識は深くありません。しかし、ひとつひとつの工事の意味は必ず把握したいと思っています。私が現場に視察に行く時には、皆さんの仕事ぶりを見るだけでなく、個々の設備がどのように機能するのか、プロジェクト全体の目的や狙いはなんであるかなどを尋ねることがしばしばあります。これは、一見現場の仕事そのものと関係がなさそうに感じることもあるかもしれませんが、とても重要なことだと思っています。皆さんが現場で関わっている仕事の意味を知ることで、当社がお客様や社会にもたらす価値やインパクトを知ることになるからです。私や営業の人達は、その立場上案件の経緯や目的、事業戦略などの話をお客様から伺う機会が多くあります。その度に当社が関わっているプロジェクトの重要性や、個々の仕事の価値の高さに驚くとともに、このような素晴らしい仕事に会社として携わることができることへの喜びを感じるものです。

例えば、当社が昨今数多く経験している板紙工場の改造工事、これは段ボールを薄くして強度を高めるための改造です。段ボールが薄くなることで、荷物の大きさが小さくなり、結果的に一台のトラックへの積載量が増え、物流効率がアップすることになります。また、昨年施工した製薬工場ではインフルエンザワクチンの製造を劇的に早く行えるようになるそうです。今の時期、まさにインフルエンザが流行していますが、予防接種を受けたにもかかわらず感染してしまうことがあります。インフルエンザの予防接種は毎年の流行を予測して作っているらしいのですが、これは流行するだいぶ前から作り始めなければ必要量を生産できないためだそうです。しかし、この新しい生産設備では流行する型が分かってから生産し始めても十分な供給量をこなすことができるということです。

このように個々の工事物件にはかならずお客様の戦略上の重要な意味があります。それを理解することで、自分のしている仕事の意味や意義、価値を見出すことができ、設備を作るさらなりやりがいにつながるのではないかなと思います。